TechFeed公認エキスパートの方々はそれぞれの分野で国内トップクラスの技術力と知見をもったプロフェッショナルが多いのですが、中には日本ではまだあまり知られていない技術の普及に尽力しているエキスパートもいます。Webブラウザ上でインタラクティブな3Dグラフィックを低レイヤで実現できる「WebGL」の情報を日々発信しているdoxas氏もそのひとりで、同氏が運営する「WebGL総本山」では、WebGLの最新動向やWebGLを駆使したクリエイティブなサイトが数多く紹介されています。フロントエンド開発者であればぜひともチェックしておきたいサイトです。
今回話を伺ったエキスパート
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今回の「Ask the Experts」はWebGLの情報をマニアックに発信し続けるdoxas氏に、そのモチベーションの原点を中心にお伺いしました。
--「WebGL総本山」とは何でしょうか? 概要を教えてください。
WebGLの事例をたくさん紹介し、それらを通じてWebGLに少しでも興味を持ってもらえたらいいなというのが基本的なコンセプトです。ほんのわずかにでも、WebGLがインターネットのなかで露出する機会を増やせたらいいなと思っています。
--WebGL総本山を始めた理由、更新頻度、継続するモチベーションについて教えてください。
開設当初は自分自身のアウトプットを増やすことで、結果的に自分のキャリアアップや、あるいは自分に箔付けできたら…みたいな打算的なところもあったような気がします。ただ最近では、ただただひたすら事例を紹介することに終始していて、自分がこのサイトの運営を通じてなにか利益を得ることはあまり考えなくなってしまいました。
WebGL総本山で紹介されているサイトの例
- 再生される動画が残像のように残る独特なエフェクトが面白いクリエイティブスタジオ Gentilhomme のウェブサイト … カーソルを動かすとそれに追従して四角い箱が動き、残像がつながって不思議な世界観が実現
- ブラー効果を使った演出が面白い Gideon Shujaa さんの F1 カーをテーマにした実験作 … CSSのブラーフィルタ使いが印象的だが、やや負荷が重いので高スペック環境で
- PlayCanvas を使って作られたストーリー仕立ての WebGL 実装が最高かわいい! … 「外見の可愛らしさが尋常ではない」とdoxas氏が打ち震えたレベルの韓国語コンテンツ
--WebGL / Web3Dについての現状の課題があれば教えてください。
WebGLはもともとWebのAPIのなかでは比較的低レイヤーな領域の知識を必要とするため難易度が高い傾向にあると思います。また、前提として求められる予備知識なども専門領域に含まれる内容が多く、実務レベルにまで実力を付けることが単純に難しく、時間もかかります。
個人で私自身ができることには限界があるのですが、たぶん、技術力にふさわしい適切な単価で実績を多く作ることが、結果的に WebGL実装者全体の社会的な立場の向上につながるのかなと思っています。
--WebGL / Web3Dについての今後の(明るい)展望を教えてください。
WebGLは低レイヤな領域に関する技術であるがゆえに、だからこそあらゆる表現や、さまざまな技術の下地/基盤として機能します。今後、ARやVRといった3DCG関連トピック、あるいはオンラインゲームやリッチなWebアプリケーションなどの需要が伸びることが予想できるなかで、WebGLの知見や技術は多くの場面で必要とされていくと思います。