HTMLやCSS、JavaScriptといったWeb関連技術のエキスパート、なかでもビジュアルプログラミングやUIデザインを得意とする池田泰延氏は、自身が代表を務めるICSのオンラインメディア「ICS MEDIA」で毎年、フロントエンドエンジニアの動向を調査したアンケート結果を公開しています。アンケートの手段はTwitter、2万3000人を超えるフォロワーをもつ池田氏だからこそできる調査だといえるかもしれません。
今回話を伺ったエキスパート
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7月19日、2022年度のフロントエンジニアの動向に関連したアンケート結果をまとめた記事がICS上で公開されました。フロントエンドエンジニアがよく使うツール、TypeScriptの普及、コンポーネント定義の書き方、WebGLへの関心など、Web制作に関わる人であれば押さえておきたいトレンドが非常にわかりやすくまとまっています。
このアンケートを通してWeb制作の第一人者である池田氏の目には”フロントエンドのいま”がどのように映ったのでしょうか。以下、オンラインでお話をうかがってみました。
--アンケートを通して前年(2021年)とは大きく異なる変化はありましたか? あったとすればどんな点が顕著でしょうか。
ReactとTypeScriptの躍進です。この傾向は以前からありましたが、ここ数年で顕著にあらわれました。フロントエンドエンジニアが「画面構築」だけでなく、「より安全に」「より効率良く」開発できることも目指すようになったため、「型」に相性のよい技術が受け入れられるようになったものと考えています。
--日本のフロントエンド開発のトレンドは、グローバルと比較してほぼ同じ傾向なのでしょうか。それとも日本のフロントエンド開発に固有のものがなにか見受けられるのでしょうか。
The State of JS 2021と比べても、全体的には似た傾向だと思います。ただ、日本では「SPAなどを開発するエンジニア層」と「ランディングページなどの静的なページを作るエンジニア層」がいて、後者の方々の意見がアンケートにあらわれる傾向があります。さまざまな要因がありそうですが、デザイナーとフロントエンドエンジニアの区分が海外と日本で異なることも理由としてありそうです。
--3D表現を実現するWebGLについての質問がありましたが、こうした3D系の開発案件は今後、増えていきそうでしょうか。
3D系案件はニッチな分野で、開発案件としてのニーズが増えることはないと思います。昔の話ですが、各種ブラウザが対応したことで2013年に「WebGL元年になる」と言われたことあります。それから9年たって3Dコンテンツが増えたかというと、多くのエンジニアにとって実感はないと思います。ただ、アワード系のWebサイトではWebGLは重要なテクノロジであり続けると思います。アワード系のWebサイトのクオリティはかつてのFlash全盛時代を超えるものも登場しています。WebGLはHTML&CSSで実現できない多彩で強力な表現ができるので、ビジュアル重視のコンテンツでのWebGLの重要性は揺るがないと思います。
--その他、今回のアンケートを通して得られた気づきなどがあれば教えてください。
Twitterを利用するエンジニアが増えたことです。このアンケートは2017年から継続して実施しています。2017年はアンケート回答数が500票ほどだったのにたいして、2022年のアンケートでは5000票に達するものも珍しくありません。私のTwitterのフォロワー数が増えたことも少しは影響あるかもしれませんが、Twitterを活発に利用するエンジニアが増えたのではないかと感じています。