令和2年(2020年)最初の月となる1月も半ばを過ぎてきました。米中通商協議が第1段階の合意で署名にこぎつけたことに加え、心配されたイランと米国との間の紛争も今のところ、小康状態となっているように見受けられます。そうした中、緩和的金融政策の下、米国株式市場は主要3指数が過去最高値更新の動きになっており、そのおかげもあって、日経平均株価は2万4千円回復となっています。投資対象を定め、こうした株式市場の動きに追従を試みたい投資家も少なくないと思われます。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、2020年の注目テーマ(2)として、AI(人工知能)関連銘柄を取り上げてみました。第1回は半導体を取り上げました。投資テーマのパッケージ投資に役立つことを期待され、当社のWEBサイトでご紹介している「テーマキラー!」では、投資家に人気の投資テーマが一目瞭然でお分かりいただけるようになっています。2019年は年間を通じ、5G、AI、半導体等が上位を占めてきましたが、2020年になってもその傾向に大きな違いはないように思われます。

そこで今回はAI関連銘柄を取り上げてみました。関連するとみられる銘柄の数が非常に多いため、業績をチェックし、好業績の継続が期待できそうな銘柄に絞ってみました。

業績好調で株価上昇企業も目立つAI(人工知能)関連銘柄はコチラ!?

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

AI(Artificial Intelligence)は「人工知能」の英語を略したものです。人間が行うことをコンピュータ(ソフトウェア)を用い、人工的に再現するものです。コンピュータは通常、人間がプログラムや指令を入力しないと結果を出力してくれません。しかし、AIはそれまでに学習した結果も踏まえて考え、行動してくれるので、能力面では人間を脅かす存在になってきました。

AIは最適行動を提案してくれたり、ニーズ(需要)を予測したり、将来を予想してくれたりして、人間を補助する側面をもっています。一方、音やにおい、人物(画像)を認知したり、デザインや表現をおこなったり、作業したりと、主体的に自動で動く側面もあります。

筆者も、アナリストのはしくれとして投資情報を扱う部署にいますが、将来この仕事もAIに代わられるかもしれません。小売店の上空にドローンを飛ばし、継続的に顧客の動向をデータ化し、その小売店の業績をAIで予想させるような時代がすぐそこまで来ているように思われます。また、投資情報に関連した決算情報等、ニュースの一部はすでにAIが執筆しています。

AIはビッグデータなくして存在しないと考えられますし、IoTと不可分の存在と考える人もいます。すなわち、市場の有力テーマであるバイオ創薬やドローン、自動運転車ロボット、フィンテック、あるいはIoTといったあらゆる技術系分野で、AIはそれらと密接に関わりイノベーションの源泉となるため、AIは非常に強力な投資テーマであると考えられます。

そうした中、「日本株投資戦略」では、以下のスクリーニングによりAI関連銘柄の「厳選」を試みてみました。

(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)時価総額1兆円未満の銘柄であること。
(3)当社のテーマ投資ツールである「テーマキラー!」でAI関連銘柄としてご紹介している銘柄であること。
(4)または、当社WEBサイトの銘柄検索ウィンドウに「AI」と入力し、関連銘柄として出力される銘柄であること。
(5)または、各種投資情報等でAI関連銘柄として紹介されていること。
(6)四半期累計の営業増益率が会社予想営業増益率を上回っていること。
(7)今期、会社が営業利益について増益の見通しを公表している銘柄であること。
(8)SBI証券投資情報部が各種資料より、その銘柄がAI関連業務に展開していると確認できた銘柄であること。

投資家の皆様もインターネット等で「AI 関連銘柄」と入力し、検索するとご理解いただけますが、関連銘柄は何百銘柄と出てきます。これらから有望銘柄を絞り込むのは至難の業でしょう。AIはそれだけ、多くの企業のビジネスに影響を与えていると考えられます。「日本株投資戦略」では業績面で絞り込みを行ってみましたが、表1からおわかりいただけるように、株価的にも高パフォーマンスをあげている銘柄が多いようです。

なお、現実のAIビジネスでは、NTTやKDDI、ソフトバンク、NEC、富士通など、通信やITの大手が幅広く展開していると考えられます。しかし、これらの銘柄は事業領域が広くAI以外の話題で株価が動くことも多いので、(2)の条件を加えることで、今回は除いてみました。

日本株投資戦略厳選「業績・株価堅調持続中のAI(人工知能)関連銘柄
(画像=SBI証券)

表1 日本株投資戦略厳選「業績・株価堅調持続中のAI(人工知能)関連銘柄
コード / 銘柄 / 株価(1/16) / 過去1年騰落率 / 営業増益率四半期 / 営業増益率通期予想
<6541> / グレイステクノロジー / 2,968 / 45.7% / 92.6% / 30.3%
<9418> / Usen-Next Holdings / 1,856 / 79.5% / 80.9% / 9.2%
<3771> / システムリサーチ / 1,878 / 36.5% / 66.9% / 9.0%
<4312> / サイバネットシステム / 923 / 63.1% / 56.5% / 31.8%
<4739> / 伊藤忠テクノソリューションズ / 3,295 / 48.2% / 38.7% / 8.6%
<8056> / 日本ユニシス / 3,535 / 34.4% / 35.8% / 11.5%
<2327> / 日鉄ソリューションズ / 3,760 / 45.5% / 34.1% / 14.9%
<2317> / システナ / 1,901 / 45.8% / 27.0% / 14.0%
<3626> / TIS / 6,660 / 41.1% / 22.9% / 10.4%
<3756> / 豆蔵ホールディングス / 1,530 / 47.5% / 22.4% / 11.1%
<4722> / フューチャー / 1,934 / 26.5% / 19.7% / 9.9%
<3826> / システムインテグレータ / 928 / 20.4% / 17.4% / 10.3%
<3984> / ユーザーローカル / 3,520 / 25.5% / 15.7% / 13.5%
<9759> / NSD / 1,787 / 66.7% / 12.9% / 9.5%

※Bloombergデータ、会社公表データを用いてSBI証券が作成。四半期営業増益率は例えば3月決算企業の場合、最新の2019年4~9月期累計の営業増益率(前年同期比)を指しています。

【ご参考】AIビジネスに関連する企業

最後に、AI事業に関連するとみられる銘柄を幅広くご紹介します。表2はその一覧です。下記の銘柄等からスクリーニング等で絞ったものが表1と考えていただいて良いかと思われます。現状では業績面等で課題のある銘柄もあり、取り扱いにはご注意ください。

株式市場のおもなAI関連銘柄
(画像=SBI証券)

表2 【ご参考】株式市場のおもなAI関連銘柄
コード / 銘柄 / AIビジネスの例
<2317> / システナ / ロボットとAIをキーワードに新たなサービス分野に展開。
<2327> / 日鉄ソリューションズ / AI開発プラットフォーム「KAMONOHASHI」を無償公開。
<2335> / キューブシステム / AI顔認証入場管理システムを構築。
<2352> / エイジア / AIをマーケティングに活用する実証実験。
<3544> / サツドラホールディングス / AI技術を保有する企業を傘下に。AIを活用して来客分析。
<3626> / TIS / AI関連ベンチャー企業に投資。AI・ロボットを活用した事業も。
<3627> / ネオス / 独自開発のチャットボット、画像認識エンジンを活用したサービス。
<3653> / モルフォ / 画像処理技術の研究開発・製品開発。大手エレクトロニクスと取引。
<3655> / ブレインパッド / AIを活用したデータ分析で顧客企業の経営改善等を支援。
<3657> / ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス / AIを活用しソフトの不具合を検査。ネット投稿監視システムも。
<3677> / システム情報 / IBM「Watson」(質問応答システム)を活用した音声認識ソリューション。
<3687> / フィックスターズ / 機械学習ソリューションを提供。
<3744> / サイオス / システム障害回避ソフトを主軸にAI分野に展開。
<3756> / 豆蔵ホールディングス / 企業にAIやビッグデータ活用のアドバイス。
<3771> / システムリサーチ / 会議の議事録作成やコールセンターの通話内容記録を自動化。
<3773> / アドバンスト・メディア / 音声対話を実現するAI。対話ソリューション。
<3776> / ブロードバンドタワー / AI、サイバーセキュリティー事業に注力
<3778> / さくらインターネット / AI、ディープラーニングに必要な高火力GPUサーバー。
<3784> / ヴィンクス / AI顔認証監視システム。オフィスで無人小売店を可能に。>
<3826> / システムインテグレータ / 「AISIA」と呼ばれる人工知能サービスを展開。
<3839> / ODKソリューションズ / 電子カルテ、WEB解析AI企業と提携。
<3844> / コムチュア / 月額課金で手軽にAIを活用したデータ分析を利用できるサービス。
<3853> / アステリア / AIを搭載したIoT総合エッジウェアを提供。
<3906> / ALBERT / AIアルゴリズムを構築し、実ビジネスにつながるシステムを構築。
<3925> / ダブルスタンダード / WEB上のビッグデータを解析し顧客に提供。
<3937> / Ubicomホールディングス / Analytics(分析)、Automation(自動化)、AIが戦略的事業ドメイン。
<3962> / チェンジ / AI/IoTを活用した体験型新人研修。
<3984> / ユーザーローカル / WEBサイトの閲覧箇所や交流サイト口コミ等を分析。
<3992> / ニーズウェル / 5G、AI、IoT等の分野で提携。
<3993> / PKSHA Technology / 機械学習を用いたソフトウェアを提供。
<3996> / サインポスト / 高輪ゲートウェイ駅に無人AI決済店舗。
<4312> / サイバネットシステム / AIを用いた大腸内視鏡診断支援ソフトを提供。オリンパスと提携。
<4382> / HEROZ / 金融等にAI開発。将棋アプリで有名。
<4722> / フューチャー / AI開発に結果コミット型。
<4739> / 伊藤忠テクノソリューションズ / 音声自動対応ソリューション。手書文書のデータほか。
<6050> / イー・ガーディアン / 投稿監視システム。人工知能型画像認識システム。
<6088> / シグマクシス / デジタルカメラ画像を使い変形や異常を自動検出。
<6182> / ロゼッタ / AI翻訳。プロの翻訳に匹敵との評価も。
<6185> / SMN / AIによるロボット・トレーディングを実現した成果報酬型DSP。
<6194> > / アトラエ / 完全審査制ビジネスマッチングアプリ「yenta」を展開。
<6541> / グレイステクノロジー / AIマニュアル「GRACE VISION」を提供。
<6572> / RPAホールディングス / 企業にRPA(事業プロセス自動化の一種)ソリューションを提供。
<7220> / 武蔵精密工業 / AIの製造業への応用を目指す「Musashi AI」を設立。
<8056> / 日本ユニシス / 人に寄り添う人工知能(AI)ですべてのビジネスと暮らしを支援。
<8068> / 菱洋エレクトロ / AI/Deep Learningを用いた外観検査評価キット。
<9418> / Usen-Next Holdings / 子会社でAI、RPAを活用した自動化事業を展開。
<9742> / アイネス / AIを活用した自治体相談業務支援サービス。
<9759> / NSD / 人工知能搭載型の光学式読み取りシステム。

※各種資料・報道等をもとにSBI証券が作成。書かれた内容はあくまで御参考であり、各社のAIビジネスを網羅したものでも、それを代表したものでもありません。また、あくまで客観的データのご紹介が目的で、銘柄の推奨を意図しておりませんので、ご注意ください。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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