プライバシーポリシー、フィッシング詐欺、クッキー……あなたは用語の意味、きちんと説明できますか?(写真はイメージです)
出典:Facebook
アメリカの世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの最新調査により、アメリカ人のテクノロジーに関する理解度は、トピックや用語などによって大きく異なることが明らかになった。
例えば、アメリカの大人の大多数は、「フィッシング詐欺」や「ウェブサイトのCookie(クッキー)」とは何かをたずねる問題に正しく答えられなかった。他の用語は推して知るべしだ。
ピューの調査は、サイバーセキュリティのようなデジタルに関するテーマからソーシャルメディア運営会社のビジネスモデルまで、アメリカ人の知識を測る10の質問から成る。平均正答数は4問で、7問以上正答した人は20%、全問正解はわずか2%だった。
2019年6月3−7日にアメリカ在住の成人4272人を対象に行われたこの調査を、より詳しく見ていこう。
正答率が比較的高かった問題から紹介しよう
ピュー・リサーチ・センターの調査結果。問題ごとの正(誤)答の占める割合。
出典:Pew Research Center
まず、大人の半数以上が正答できたのは、以下の3問だけだった(問題はすべて選択式、以下に挙げるのは正解のみ)。
正答率67%……「フィッシング詐欺」は、メール、テキストメッセージ、ソーシャルメディアやウェブサイトといった複数のプラットフォームで起こりうる。
正答率63%……「クッキー」とは、あるウェブサイトがユーザーの訪問や行動などの履歴を記録しておくテキストファイルである。
正答率59%……多くのソーシャルメディアにとって最大の収益源は「広告」である(4%が「独占的ライセンス契約」、2%が「企業コンサルティング」と誤答)。
続いて正答率が高かったのは、次の通り。
正答率48%……「プライバシーポリシー」とは、ウェブサイトとユーザーの間で個人のデータがどのように使用されるかを定めた契約である。
正答率45%……「ネット中立性」とは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)はネット上のすべてのトラフィックを平等に取り扱う必要があるという原則を指す。
ここから先の問題は3人に2人以上が間違える
一般にはあまりなじみのない質問の正答率は、以下のようになっている。
正答率30%……「https://」で始まるURLは、そのサイトで扱われる情報は暗号化されているという意味である。
正答率28%……「二段階認証」の正しい例を選びなさい。
(自ら本人だと主張する個人を確かに本人であると認定するためには、[1]パスワードのように本人しか知らない情報を入力する[2]電話番号のような外部に所有するソースを使う[3]指紋のようなものを認識させる、という方法のうち少なくとも2つが必要とされる、という正答をイラストから選ぶ設問)
正答率24%……「プライベート・ブラウジング」あるいは「シークレット・モード」は、ユーザーのオンライン上の行動を、同じコンピューターを使う別のユーザーから見えないようにするに過ぎない。
(ウェブサイトやインターネットプロバイダー、会社のPCなら会社から、ユーザーの行動が見えなくなったり、補足されなくなるわけではない)
ソーシャルメディアを運営する企業に関する問題も、正答率は低かった。
正答率29%……WhatsAppとInstagram、両社の親会社は以下のどれ?
WhatsappとInstagramの親会社は?(写真は本文の調査で示された選択肢とは異なるイメージです)
Shutterstock.com
答えはもちろん「Facebook」。次の問題はもっと正答率が低く、10人に2人も当たっていない。
正答率15%……下の写真に写っている人物は誰?
写真の人物(本文の調査で示された写真とは異なる、同人物の別カットです)、あなたは誰だかわかるだろうか。
David Becker/Getty Images
答えは、Twitterの共同創業者で最高経営責任者(CEO)の「ジャック・ドーシー」だ。
「不正解」より「わからない」が圧倒的に多い
ここで強調しておきたいのは、正答率は確かに問題の内容によって差があったものの、間違った選択肢を選んだ人ばかりだったわけではなく、むしろ「どれを選んでいいかわからない(Not sure)」という回答のほうが多かったことだ。実際、半数以上(55%)が間違った選択肢を選んだのは、正しい二段階認証の問題だけだった。
二段階認証で本人を認定する方法を「わからない」と答えた人は17%、フィッシング詐欺がどんなプラットフォーム上で行われるのか「わからない」と答えた人も15%だった。この割合は他の問題に比べるとずっと少ないほうで、他の多くの問題では、不正解の数より、わからないと答えた人の数のほうがずっと多かった。
例えば、Facebookの子会社2つが「わからない」と答えた人、プライベート・ブラウジングの機能が「わからない」と答えた人は、いずれも49%に達した。さらに、写真を見てTwitterのジャック・ドーシーだと言い当てる問題では、最大となる77%が「わからない」と答えた。
デジタル知識の差は「学歴」に左右される
ピュー・リサーチ・センターの調査結果。学歴によるデジタル知識の差。
出典:Pew Research Center
調査結果によると、デジタル分野に関する知識は学歴によって相当異なる。平均正答数は以下のようになった。
学士号かそれ以上の学位を持っている人 6問
大学に通ったが学位が取れなかった人 4問
高卒かそれより低い学歴の人 3問
学士号以上を持っている人のおよそ10人に4人(37%)は7問以上に正答した。同じ7問以上正答できたのは、大学に通った経験のある人で20%、高卒かそれより低い学歴の人ではわずか9%だった。
学士号以上の人と高卒以下の人の間では、全問正答した人の割合に2ケタ以上の差が生じ、5問正答した人の割合でも30ポイントの差がついた。問題ごとにみると、クッキーの意味とソーシャルメディアの収入源では32ポイント、プライバシーポリシー、https://の意味、ネット中立性の問題ではいずれも30ポイントの差が開いた。
学歴差ほど注目されていないが、年齢による知識の差はそれと同じくらい大きかった。
例えば、18−29歳の平均正答数は5問だったが、65歳以上では3問だった。
問題によって年齢差の出方はかなり異なる。問題ごとにみると、プライベート・ブラウジングの機能では34ポイントの差が、Facebookの子会社を選ぶ問題では25ポイント、正しい二段階認証の方法では23ポイントの差がついた。
ただ、https://で始まるURLの意味やソーシャルメディアの収入源の問題では、そこまでの年齢差が出なかった。このあたりはなかなか説明がつかないところだ。
[原文:Most Americans don't know Facebook owns Instagram and WhatsApp]
(※本記事は原文をもとBusiness Insider Japan編集部が再編集したものです)
(翻訳・編集:川村力)