デジタル変革の中心はデータSQL Server 2019で実現するデータ資産の管理と活用

今やさまざまな局面で使われるようになった“デジタル変革”――、単なる”デジタル化”にとどまらず、ビジネスモデルやプロセスの”変革”が求められる点に難しさがある。それに対し、Dell Technologies (以下”Dell”と記載)では、「データを中心」に据えたアプローチを提案する。データを収集・分析して洞察を導き出し、それを基に行動に移すと考えると分かりやすい。そして、そのデータ基盤として注目したいのが、間もなく登場する「Microsoft SQL Server 2019」だ。30年にわたって良好な関係を構築するDellとMicrosoftの協業が、SQL Server 2019ではどのようなメリットを生むのだろうか?

デジタル変革に必要な技術を備えるDellのインフラ

Dell Technologies 日本最高技術責任者 黒田 晴彦氏
Dell Technologies
日本最高技術責任者 黒田 晴彦氏

 デジタル変革の定義はさまざまだが、Dell Technologiesで日本最高技術責任者を務める黒田晴彦氏は、「中心にあるのはデータ」と述べる。IoTによりデータの収集を自動化でき、洞察の部分はビッグデータ解析と人工知能(AI)が、データの視覚化では仮想現実/拡張現実(VR/AR)といった技術がある。行動に移す部分ではアジャイル開発がキーワードとなる。Dellはこれらの技術を活用するインフラ基盤を提供するが、マルチクラウドを支えるプラットフォームの役割も備える。「オンプレミスのみ、あるいは特定のパブリッククラウドのみというのは非現実的。基盤の整理に当たって、今後の拡張を支えることができる一貫したプラットフォームが必要になる」と黒田氏。Dellのインフラは、エッジ、オンプレミス、マルチクラウドと全て同じような手法で管理できる仕組みとなっている。ハードウェアではオンプレミスでのスケールアップとスケールアウト、高速化のための不揮発性メモリー(NVM)やフラッシュなどがあり、その上ではソフトウェア定義、仮想GPU(vGPU)、アジャイル開発で重要になるコンテナーでのKubernetesのサポートなど、今後の進化を支える技術も備えている。

 「新しい技術をきちんと押さえて最適な形でお客さまに届けるため、Dellは基礎的な研究開発に年4000億円以上を投じています」と黒田氏はいう。

 データ中心の考え方では基盤の上でデータの流れを管理することが重要になるが、データ管理分野でDellが期待をするのが、間もなく一般公開(GA)となる「Microsoft SQL Server 2019」だ。「今やデータベース管理システムではなく、データマネジメントツールとしての機能を備えている」と黒田氏。DellとMicrosoftはDell創業時から密な関係を構築しており、SQL Serverでも20年来の蜜月が続いている。SQL Serverを熟知するDellだけに、「どのようなニーズであれ、SQL Server 2019なら全体を管理できる」という黒田氏の言葉は説得力がある。


※クリックすると拡大画像が見られます

SQL Server 2019のビッグデータ機能とは?

日本マイクロソフト株式会社 Azure ビジネス本部 製品・テクノロジマーケティング部 エクゼクティブプロダクトマネージャー
岡本 剛和氏
日本マイクロソフト株式会社
Azure ビジネス本部
製品・テクノロジマーケティング部
エクゼクティブプロダクトマネージャー
岡本 剛和氏

 ではSQL Server 2019のデータ管理機能とはどのようなものか? 日本マイクロソフト Azure ビジネス本部 製品・テクノロジマーケティング部でエグゼクティブプロダクトマネージャーを務める岡本剛和氏はまず、「ビッグデータへの対応」を挙げる。

 「SQL Server 2019は、オペレーショナルデータだけではなく、肥大化するデータからさまざまな洞察を見つけてビジネスにつなげていくプラットフォームという位置付けが設計段階で組み込まれています」(岡本氏)。そこで最も重要になるのが「ビッグデータクラスタ」という新機能だ。岡本氏によると、ビッグデータクラスタは、(1)データの仮想化、(2)Apache Sparkのサポートなどの要素を持つという。以下に見てみよう。

 データ仮想化では、外部データソースからデータを読み取るTransact-SQLクエリを処理できる「PolyBase」技術とデータソースとのコネクターにより、各データベースとの連携が可能になった。つまり、ユーザーは1カ所にアクセスしてさまざまなデータを得ることができるという画期的な機能となる。技術的メリットだけでなく、個人情報の保持などのコンプライアンスという点でも重要な機能になると岡本氏は見る。

 このようなデータ仮想化について、DellでMicrosoft ソリューションの開発、グローバル展開を担当するStephen McMaster氏も、「データが生成される方法、アプリケーションの種類が多岐にわたっており、PolyBaseの考え方は重要」と評価する。「これまで、生成されたデータはサイロ化された状態にあり、それぞれの言語を使ってアクセスする必要がありました。だが、PolyBaseにより、固有の言語を知らなくてもアクセスできるようになります」とMcMaster氏、データ管理者が全てにアクセスできることから「データの民主化が実現する」とそのインパクトを表現した。データをSQL Serverにインポートする必要がなくなるため、ETLオフロードなどの処理は不要になる。全体としてのデータの利用や活用が進むとメリットを説明した。

Dell Technologies Ready Solutions & Alliances-Microsoft Microsoft Engineering Technologist Stephen McMaster 氏
Dell Technologies
Ready Solutions & Alliances-Microsoft
Microsoft Engineering Technologist
Stephen McMaster 氏

 また、Apache Sparkのサポートにより、SQL ServerのTransact-SQLに加え、Sparkを使ってビッグデータにアクセスできるようになった。

 これらにより実現するのが、AIプラットフォームとしてのSQL Server 2019だ。たくさんのデータソースから統合されたデータをAIにフィードしたり、学習用データを取り込んで効率的にトレーニングさせたりできる。さらには、構築したモデルの運用までを単一のプラットフォームで行うことができる。これに加えて、コンテナー化してモデルを公開するなどのことも可能だという。データが溜まれば、モデルが改善され、精度が高くなることはいうまでもない。

データを資産として活用する”データエステート”構想

 このような特徴を持つSQL Server 2019だが、オンプレミスでもクラウドでも同等の機能を提供する点も重要なポイントだ。「Microsoftはクラウドかオンプレミスかという考え方はしていません。オンプレミスでもMicrosoft Azure上のIaaSでも使うことができ、コンテナーを使うとその間の移動が簡単になります。お客さまはオンプレミスの資産を持ちながら、ビッグデータクラスタを構築することで、同じアクセス形態でクラウドにもオンプレミスにもアクセスできます」と岡本氏、「ここは重要なポイントです」と強調した。

 ビッグデータクラスタの他には、SQL Server 2017で実現したLinuxとDockerへの対応、互換性の保持なども特徴だという。

 Linux対応により増えている使い方の1つが、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)によるアプリケーションのマイグレーションだ。「Windows版、Linux版などハイブリッドでソリューションを提供しているISVの場合、同じ技術でLinux版、Windows版にアクセスできるというところに魅力を感じていただいているようです」と岡本氏。コンテナーについてDellのMcMaster氏は、「(SQL Server 2017で)Linuxに対応し、SQL Server 2019ではコンテナーに対応した。複数の場所にデータがあっても統合的にアクセスし、そこから洞察を引き出すことができる」と述べ、SQL Serverの進化を生かしてデータ資産の活用をさらに改善できると続けた。

 SQL Server 2008/2008 R2の延長サポートが2019年7月9日に終わりを迎えたこともあり、最新版との互換性は気になるところだ。SQL Server 2019はSQL Server 2008アプリケーションに対しても互換性を保持しており、基本的にはコードの変更なく動くという。「Microsoftは、データを資産として考え、これをいかに活用するかという“データエステート”というコンセプトを持っています。その上で、データ資産を継承するための互換性を重視しています」と岡本氏。

コンテナーストレージインターフェイスCSIを初めて製品化

 このような特徴を持つSQL Server 2019に対し、Dellインフラを組み合わせるメリットはどこにあるのか?

Dell Technologies Principal Systems Engineer Global Microsoft Pre-Sales Robert F. Sonders 氏
Dell Technologies
Principal Systems Engineer
Global Microsoft Pre-Sales
Robert F. Sonders 氏

 インフラについて説明したDell のRobert Sonders氏(Microsoft スペシャリスト主席システムエンジニア)によると、コンテナー対応などのMicrosoftのSQL Server 2019の長所を最大に活用するために必要となるインフラのモダン化をDellは支援するという。ここでのキーワードは3つある。(1)規模が拡大するデータベースインフラへの対応(シャドーIT問題を含め管理と保護するデータベースが増えている)、(2)ライフサイクル管理の自動化(開発者と運用担当の間でデータベースライフサイクル管理を自動化)、(3)データベース仮想化のための統一されたプラットフォームの構築(仮想化とクラウドのメリットを得られるプラットフォームが必要)――である。「Dellのインフラを利用して単一のプラットフォームで、ベアメタル、仮想化、コンテナー化とさまざまな形でSQLを運用できます」とSonders氏はアピールする。

 単なるハードウェア以上の価値を上流のSQLに対して提供できる例として、Sonders氏はコンテナーを紹介した。調査会社のGartnerでは、2022年に企業の75%が本番稼働でコンテナーを動かすと予想している。データベースも当然含まれるが、SQL Server 2019をコンテナー化するメリットは、安全な環境の提供、アップデートやアップグレードを稼働中に実装可能、ローカルで構築してクラウドに実装してどこでも走らせるなどの移植性、とさまざまだ。これらを最大活用するため、Dellでは業界標準のコンテナーとストレージのインターフェースであるCSI(Container Storage Interface)をプラグインとして提供する。

 「コンテナーのデータは永続性がないが、CSIによりデータを長期保持できる仕組みを提供できます」とSonders氏はそのメリットを説明した。CSIプラグインはまず、オールフラッシュストレージのXtremeIO、そしてVxFLEXで提供、その後他の製品でも利用できるようにする。「CSI仕様に基づいた製品はDellが初」とSonders氏は胸を張り、「Dell製品は現在の問題を解決し、将来に備えることができます」と続けた。

 コンテナーはDellのフォーカス分野であり、Microsoftと共同でSQL Server 2019のコンテナー化に特化したホワイトペーパー「SQL Server 2019 Containers on Linux」も作成している。


※クリックすると拡大画像が見られます

※クリックすると拡大画像が見られます

データ管理の悩み解決、人材育成も支援する
Dell Technologiesコンサルティング

 日本でSQL Server 2019に合わせたインフラモダン化を支援するのがDell Technologiesコンサルティングだ。100人規模の組織で、そのうち80人がコンサルタント。Microsoft関連では20年以上サービスを提供しており、プロジェクトは数にして1000件以上をこなしてきた。日本マイクロソフトのアワードも多数受けている。

Dell Technologies コンサルティングGTM プリンシパルコンサルタントチーム 部長 野上 友和氏
Dell Technologies
コンサルティングGTM
プリンシパルコンサルタントチーム 部長
野上 友和氏

 日本の状況を紹介したコンサルティング事業部 プリンシパルコンサルタントチーム 部長の野上友和氏によると、データ管理は業界に関係なく高い関心があるという。中でもマルチクラウドの時代となり、複数のデータベースをどのように連携させるかの悩みが多く聞かれるとのこと。「われわれはデータベースチームの中にSQL Serverに精通したコンサルタント、Oracleに精通したコンサルタントがおり、広い視点で支援できます」と野上氏。ハードウェアなどの技術支援、性能改善のための支援に加えて、データ活用人材の育成など新しいニーズにも対応しているとのことだ。

 具体的には、データ活用に必要な人材を3種類(データ分析官、データ管理者、データエンジニア)に区分し、それぞれのチームのスキルレベルを5段階で評価して、レベルを上げるための支援をしているという。「深層学習などのAIも活用しなければならず、ハードルが高いと思われがちですが、体系化されたカリキュラムを着実にこなすことでスキルアップを図っていただくことができます」(野上氏)。

 野上氏はDellの強みとしてもう一つ、「ワンストップでのサポート」も紹介した。「OEMでWindowsOS、SQL Server等のマイクロソフト製品やVMwareのライセンスを販売することにより、ワンストップでサポートできます」と野上氏は強調する。また、SQL ServerとSSDをセットにしたデータベース専用機「SQL Server SSD Appliance」も好調だという。さらに同氏は、「Optaneメモリーベースの爆速サーバーを開発中で、社内では”超爆速”と呼んでいます。日本のお客さまは性能への要求が高く、ここは力を入れてやっていきたい」といい、「IAサーバーはコモディティ化したと言われますが、ビッグデータ分析向けの超高速処理を要求される分野のサーバー技術の進化は日進月歩であり、コモディティ化しているとは言えない状況となっています。現に弊社の爆速サーバーを選択しているお客様は客観的にみて、同業他社に対して高い競争力を維持されていると感じます。彼らはサーバーがコモディティ化しているとは捉えていません。」と続けた。

 Dellは創業35周年、この間Microsoftとは良好な関係を維持してきた。SQL Serverでも、共同開発、共同のソリューション検証、共同での顧客サポートなど、共同顧客を支援するために強いタッグを結んでいる。「データ活用という点ではこの20年で最もインパクトが大きなパラダイムシフトが起きており、DellとMicrosoftの組み合わせはこのシフトを支援できる」とMcMaster氏は話す。Sonders氏は、「MicrosoftにとってDellは最大のパートナーだ。われわれにはSQL Serverをはじめ、Microsoftの全製品を提供する専任チームがあり、顧客が求めるものを提供できる」と述べ、これを「Better Together」(一緒になることで、さらに相乗効果が出る)と表現した。


提供:Dell EMC
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2019年12月31日
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]