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ソニーのオーディオ技術を結集した超弩級パワードスピーカー「SA-Z1」

ソニーは、ドイツで開催されるIFA 2019に合わせて、同社のオーディオ技術を結集した「Signature Series」の新製品として、ニアフィールド再生用の小型パワードスピーカー「SA-Z1」を発表した。2020年春に欧州で発売予定。価格はペアで7,000ユーロ。日本での発売日や価格は未定。

SA-Z1(ウォークマンと接続)

キューブ状の密閉型小型スピーカーの背後に、アンプとハイレゾ対応のDACユニットを固定した形状のニアフィールド再生用スピーカー。外形寸法は199×326×207mm(幅×奥行き×高さ)、重量は10.5kg。

パソコンやポータブルオーディオプレーヤーなどと組み合わせ、省スペースで高品位な音楽再生を追求。コンパクトながら、広大な音場や高い解像度の再生をテーマとして開発。ヘッドフォンからオーディオファンになったユーザーに向けて、ヘッドフォンのような高解像度再生と、スピーカーならではの空間表現を両立したモデルとしている。

ウーファーとツイーターを同軸上に配置

ユニットは、前方中央にソニーのフロア型スピーカーでも採用している「I-ARRAYシステム」を導入。中央にメインツイーター、その上下にアシストツイーターを配置。その奥にあるエンクロージャー内には、メインウーファーを内蔵。そのメインウーファーと背中合わせに、アシストウーファーを配置している。この配置により、点音源に近い再生を実現。

さらに、メインウーファーと背中合わせに配置したアシストウーファーからは、低域のみをスリット状の音道から放出。密閉型ならではの高い解像度を維持した低域を実現しながら、同心円状に十分な音圧も広げられるようになっている。

また、ウーファーを背中合わせに配置する事で、互いの振動がキャンセルされ、エンクロージャーの振動を抑える狙いもある。ウーファーの対向配置は鼓のような形状であるためこの構造は「Tsuzumi」と名付けられている。

これらのツイーター、ウーファーは、それぞれ個別のアンプで駆動。さらに、それらの駆動において、FPGAで時間軸を完全に揃える事で、滲みのない高解像度再生を実現。各ユニットを独立駆動する事で、動いたユニットから戻ってくる逆起電流の悪影響も最小化した。

ユニットはツイーター×3、ウーファー×2の5基あるが、駆動するアンプはメインツイーター、アシストツイーター×2、メインウーファー×1、アシストウーファー×1の、合計4基搭載している。

内部構造

駆動するアンプは、ヘッドフォンアンプの「TA-ZH1ES」で採用した、D.A.Hybrid AMP。通常、フルデジタルアンプは大出力時に誤差が生じるが、D.A.Hybrid AMPはアナログ信号の理想波形を使う事で、誤差成分を補正。メインのデジタル信号を、アナログ信号がアシストする構成になっている。

またこのD.A.Hybrid AMP自体も進化。スピーカードライブには、ヘッドフォンの数十倍の大電流を高速に供給する必要があるため、現行のMOS-FETでは性能に限界があった。そこで、次世代パワー半導体の新素材GaNを採用。理想の波形を実現したという。

D.A.Hybrid AMPは2ch仕様で、片方のスピーカーの個別ユニットに、合計4基搭載。それを左右スピーカー個別に搭載しているため、合計では16ch分の独立駆動制御を行なうことになる。これはFPGAを2基使うことで解決した。

スピーカーのエンクロージャーと、D.A.Hybrid AMPなどを搭載した背後のユニットは、1つの筐体にまとまっているわけではなく、筐体の角同士をブリッジ接続したもの。これは相互干渉を抑えるための工夫。

ツイーターはチタンスパッタリング振動板を採用。表面にチタンをスパッタリングコーティングする事で、ソフト材でありながら、強度を向上。ソフトドームの滑らかさに、ハードドームの高域特性を両立したとする。

このツイーター振動板の重心を駆動するバランスドライブ構造も採用。ボイスコイルも最適設計とし、100kHzまでの高域再生を可能にした。

入力端子は、PCやデジタルプレーヤー接続用にUSB-B、ウォークマン用のWM-PORT入力、光デジタル、アナログのXLRバランス入力、RCAのアナログ入力、ステレオミニのアナログ入力を搭載。パソコンやデジタルプレーヤーとの接続をしやすくしている。

左右のスピーカー間は、専用のケーブルで接続。このケーブルは独自端子のものだが、ケーブル自体もかなり音質にこだわったものを開発している。

背面

対応データは、DSDが22.4MHzまで、PCMは768kHz/32bitまで。

音質の調整機能も搭載。信号劣化なく音の質感や味付けを調整するため、D.A.Hybrid AMP、Tsuzumi、I-Arrayのアシスト方法を物理的に切り替える仕組みを採用している。