この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「VMwareがPivotal Softwareの買収を交渉中、Pivotalが正式に認める」(2019年8月16日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
Spring FrameworkやPaaS型クラウド基盤Cloud Foundryの開発を主導していることなどで知られるPivotal Softwareに対して、VMwareが買収交渉をしていることをPivotal Softwareが正式に認めました。
Pivotalはプレスリリースで次のように書いています。
On August 14, 2019, Pivotal confirmed that through a Special Committee of its Board of Directors, we are in discussions with VMware regarding a potential business combination, and we are proceeding to negotiate definitive agreements with regards to a transaction in which VMware would acquire all of the outstanding shares of Class A common stock of Pivotal for cash at a per share price equal to $15.00.
2019年8月14日、Pivotalは取締役会の特別委員会において、VMwareとのビジネスの統合の可能性および、VMwareが1株あたり15ドルの現金によって全てのクラスA普通株式を買収することについて、最終的な合意の交渉を進めていることを確認しました。
上記の画面にあるようにPivotalの現在の株式は8ドル30セント程度であり、VMwareが提案している1株あたり15ドルは十分によい条件のようにみえます。
Pivotalは前述のようにSpring FrameworkやCloud Foundryなどのオープンソースをベースとしたソフトウェア製品や、Kubernetesを用いたコンテナ向けサービスやサーバレスコンピューティングのためのソフトウェアなど、クラウド向けの先進的なフレームワークやミドルウェアを積極的に展開しています。
またアジャイル開発やDevOpsの企業向けコンサルティングなども行っています。
一方、VMwareは仮想化ハイパーバイザーを中心に仮想化基盤製品の提供で大きな成功を収め、現在はそれらを基盤にしたVMware Cloudを、AWSやサードパーティーのクラウドで展開することで、クラウドベンダーとして、あるいはクラウド基盤を提供するソフトウェアベンダーとしてさらなる成功を模索しています。
そのためVMwareはこのところ、クラウドの機能を充実させるための買収を積極的に行っています。例えば昨年11月にはKubernetesに関するコンサルティングやトレーニングを行うHeptioを買収してKubernetesへの取り組みを強化。今年に入って6月にはアプリケーションのロードバランシングなどを行うソフトウェア企業のAvi Networksを買収し、7月にはGPUやFPGAの仮想化機能をvSphereに統合するBitfusionの買収を発表しています。
Pivotalの買収交渉も、このようなクラウド強化に向けた同社の積極的な買収戦略の一環だといえます。特にPivotalはもともとVMwareからスピンアウトした企業であり、現在もPivotalのソフトウェアがVMware製品として提供されるなど緊密な関係にあります。VMwareにとって買収後のシナジーを見込みやすい企業でもあるといえるでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR