故スティーブ・ジョブズ。Macintoshに囲まれて。
Steve Jobs in 1984.
- 最新のiPhoneは1000ドル以上。これは、高級ブランドとして知られるアップルの戦略に基づいている。
- だが創業当初は数千ドルという価格設定はごく普通のことで、1万ドルを超える製品もあった。
- アップルがこれまでに販売した高価な製品には、昔のデスクトップPCだけではなく、最近のノートPCやウエアラブル製品も含まれる。
アップル製品は高価なことで知られている。スマートフォン、パソコン、タブレットからケースまで、おそらく最も高価な選択肢になるだろう。
価格が高いという評判から、アップルを批判する人たちの間には有名な言葉が生まれた。「アップル税(Apple tax)」だ。
消費者はアップルロゴのついた製品を手に入れるためなら、喜んで高いお金を出すという意味。
最近のアップルはこのイメージから遠ざかっているかのように思われた。
Apple WatchやAirPodが比較的安価な価格で販売されたから。だが、最新のiPhoneは1000ドル以上。アップルは再び、高級ブランドになろうとしている。
アップルがこれまでに販売した高価な製品を振り返ってみよう。
21位 Apple III(1981年)、3815ドル
Flickr/Mark Mathosian
大成功したApple IIのアップデート版。Apple IIの2倍のメモリを積み、2倍の速さが売りだった。価格はモニター込み。わずか4年後の1984年に製造終了、6万5000台しか売れなかった。
20位 Macintosh XL(1984年)、3995ドル
Jason's Macintosh Museum/YouTube
当初は「Lisa 2/10」と名付けられていた。多くのテクノロジーがLisaのものだったからだ。だが発売されると、「初のハイエンド・マッキントッシュ」と位置付けられた。 Lisaの所有者は無料でアップグレードできた。
19位 Macintosh SE/30(1989年)、4900ドル
YouTube/Jason's Macintosh Museum
第2世代の一体型Macintosh。Mac IIxよりも小型だが、よりパワフルだった。価格はハードディスク搭載モデルのもの。
18位 Pro Display XDR(2019年)、4999ドル
Business Insider/Lisa Eadicicco
新型Mac Pro用の32インチディスプレイ。解像度は6016 x 3384の6K。
17位 Macintosh IIcx(1989年)、5369ドル
Jason's Macintosh Museum/YouTube
Macintosh IIxの後継機種、小型化された。モジュラーデザインを採用し、組み立てが容易にできるようになった。発表会では当時のアップル幹部、ジャン=ルイ・ガセーがステージ上で組み立てを実演してみせた。
16位 Macintosh II(1987年)、5498ドル
The Apple Museum
アップル初のモジュラーデザインのモデル。以降、モジュラーデザイン採用モデルが複数登場する。また、グラフィックカードを追加することでカラー表示できる最初のマックでもあった。
価格は40MBハードディスクモデルの場合。フロッピーモデルは3898ドル。
15位 PowerBook G3(1997年)、5699ドル
Sivvr/YouTube
コードネーム「Kanga」、G3世代のノートPCの最初のモデルで、2代目の「Wallstreet」や4代目の「Pismo」などが続いた。6カ月後にはよりパワフルなプロセッサーを搭載した後継機種が販売された。
14位 Macintosh Quadra 700(1991年)、5700ドル
Jason's Macintosh Museum/YouTube
アップル初のタワー型。それ以前のモデルは、本体の上にモニターを置くというスタイルにこだわっていた。
13位 Mac Pro(2019年)、5999ドル
Apple
Mac Proの最新バージョンはおよそ6000ドルから。2019年6月のWWDCで発表され、秋に発売予定。
12位 PowerBook 3400c(1997年)、6500ドル
Neal Monkes/Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)
発売時には「世界最速のノートPC」と宣伝された。その速度は当時のデスクトップのマックに匹敵。これは珍しいことだった。
11位 Apple LaserWriter(1985年)、6995ドル
Flickr/Cassandra.Jo
その魅力は10台以上のマッキントッシュで共有できたこと。そのため7000ドル(現在の1万6000ドルに相当)という価格ではあったが、Macintoshを使っている企業は導入しやすかった。
量販された最初のレーザー・プリンターの1つであり、デスクトップ・パブリッシング革命をもたらした。
10位 Mac Pro(2013年)、6999ドル
Getty Images/Justin Sullivan
2019年秋に待望の新型Mac Proが登場するまで、2013年から今も販売されている。動画や画像の編集を行うクリエイター向けの強力なワークステーション。
2999ドルから購入できるが、最高のスペック ── 12コアのプロセッサー、メモリは64GB、ストレージは1TBにするとこの価格になる。
9位 Macbook Pro(2016年)、7049ドル
Hollis Johnson/Business Insider
ハイパフォーマンスなノートPCで、画像加工や動画編集にも使える。ファンクションキーの代わりにTouch Barを搭載。
15インチモニターモデルで最高スペック ── 2.9GHzのプロセッサー、メモリは32GB、ストレージは4TB、グラフィックカードはVega 20にするとこの価格。
8位 Macintosh Portable(1989年)、7300ドル
SSPL/Getty Images
1989年9月、アップルは初の「ポータブル」コンピューターを発表。カッコ付きの「ポータブル」にしたのは、重さが16ポンド(約7kg)もあり、持ち運ぶのが大変だったから。重いボウリングのボールを持ち歩くようなものだった。
7位 Twentieth Anniversary Macintosh(1997年)、7499ドル
Photos courtesy of Portfolio/Penguin, publisher of JONY IVE, The Genius Behind Apple's Greatest Products
TAM(詳しい人はそう呼んだ)は実にユニークな製品だった。リリースされたのは1997年3月、アップルのどの製品ラインにも属さなかったが、その後のiMacの先駆けであり、すべての部品がスクリーンの後ろのスリムなボディーに収められた。
当時の7500ドルは現在の1万1200ドルに相当、かなり高価だった。しかし1年足らずで、在庫処分のために1995ドルに大幅に引き下げられた。
6位 Macintosh IIci(1989年)、8800ドル
Jason's Macintosh Museum/YouTube
IIcxの後に登場、よりパワフルで、多くのメモリを積んでいた。デザインは少しなめらかになっている。ハードディスクは40MB。
5位 Macintosh IIx(1988年)、9369ドル
Tech Perspectives/YouTube
Macintosh IIのアップデートモデル。カラーディスプレイを接続できた。発表当時、アップルは同モデルは「主要なビジネス市場と高等教育市場での地位を強化する」と記した。価格は80MBのハードディスクを含んだもの。
4位 Apple Lisa(1983年)、9995ドル
SSPL/Getty Images
2015年の映画『スティーブ・ジョブズ』を見た人なら、Lisaを覚えているだろう。映画ではジョブズは、娘の「リサ」にちなんで名づけたものではないと言い続けた。
映画ではあまり言及されていないがLisaはなんと9995ドル。今日なら2万4000ドルを超える。その価格のため、買い手は真のパイオニアだった。グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を備えた、マウスで操作する初のコンピューター。
3位 Macintosh IIfx(1990年)、1万2000ドル
YouTube
IIfxがリリースされた1990年までに、アップルは14年間に渡って、15モデルのコンピューターを販売していた。アップルは、このコンピューターを「ビジネス市場」に超高速マシンとして売り込んだが、当時存在していた他のPCに後れを取っていた。
2位 iMac Pro(2017年)、1万3199ドル
Kif Leswing/Business Insider
iMac Proは、オーディオやビデオの編集者やソフトウエア開発者など、膨大なコンピューティングパワーが必要な人々が対象。標準仕様でも魅力的で価格は4999ドル、最大限にアップグレードするとこの価格になる。
1位 Apple Watch Edition(2015年)、1万7000ドル
Stefanie Loos/Reuters
Apple Watchは2015年に登場、基本モデルは349ドルという手頃な価格だった。しかし、腕時計コレクターたちは通常、そうした価格の製品は買わない。いい腕時計とは、時間を教えてくれるデバイスであると同時に、ステータスシンボルでもある。
アップルは喜んでコレクターの期待に応えた。それが「Edition」バージョン。価格は、ローズゴールドのケースで1万ドルから。18金のイエローゴールドまたはローズゴールドのケースとバンドは1万7000ドル。
だがアップルはすぐに、ほとんどの人 ── ビヨンセ以外は、車と同じくらいの価格のスマートウォッチに興味がないことを知った。Series 2が発売される頃には、「Edition」はセラミックケースになり、ステータスシンボルではなくフィットネスデバイスとして販売され、価格も1300ドルに抑えられた。アップルは2018年秋、「Edition」の製造を終了した。
※敬称略
[原文:The 19 most expensive products Apple has ever sold (AAPL)]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue、増田隆幸)