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- アップルのチーフデザインオフィサー(CDO)、ジョナサン・アイブが30年近く勤めたアップルを退社する。事情通は、アップルが共同創業者のスティーブ・ジョブズが率いた「デザインファースト」の時代から脱却しつつあることのサインと見ている。
- アイブはジョブズとともに、アップルの象徴的な製品のデザインをリードした。初代iPod、iPhone、iPad、Apple Watchなどだ。
- 現在のアップルCEO、ティム・クックはオペレーションとマネジメントでよく知られている。アイブに代わってCDOに就くジェフ・ウィリアムズも同じ領域の出身。
- ジョブズの伝記の著者ウォルター・アイザックソンは、CNBCのインタビューで、ジョブズはクックを「プロダクトの人間ではない」と考えていたことを明らかにした ── 2011年の著書「スティーブ・ジョブズ」には直接的には書かなかったが。
スティーブ・ジョブズは、CEOとして自分の跡を継いだティム・クックに対して、辛辣な意見を持っていたと伝えられた。
「ティムはプロダクトの人間ではない」
ジョブズが2011年に亡くなる前に語ったというこの言葉は、7月8日(現地時間)、CNBCのインタビューでジョブズの伝記の著者ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)が明らかにした。
アイザックソンは、チーフデザインオフィサー(最高デザイン責任者)のジョナサン・アイブがアップルを退社するというニュースについて語り、アップルの今後にとって意味があると述べた。
ジョナサン・アイブ(左)とティム・クック(右)。
Reuters
「ジョブズが亡くなる前、クパチーノのオフィスに行ったときは毎日、昼過ぎにデザインスタジオに続く鍵のある大きなドアまで行き、ほかの人は全員締め出して、アイブと一緒にスタジオ中を歩き回っていた」とアイザックソンは語った。
「2人は電話のみならず、プラグ、ジャック、電源コードの巻き方など、あらゆることを共有した。ジョブズは本質的にはジョナサン・アイブが大好きな、プロダクトの人間だった」
一方、クックはオペレーションのエキスパート。以前はチーフオペレーションオフィサー(最高執行責任者)を務め、アップルではプロダクトではなく、ロジスティクスでよく知られていた。
「アップルは今、非常にうまく行っている。だが、製品の美しさを追い求めた2人のスピリチュアルなソウルメイトはいない」とアイザックソンは述べた。
ジョブズとアイブは、アップルの象徴的な製品であるiPod、iPad、iPhone、そして最近ではアップル新本社の設計をともに行った。
アイザックソンは、この発言は「厳しすぎる」と感じたので、「ことを和らげる」ために自身が書いた伝記には残さなかった。だが、この言葉はアイブがアップルを去る今、より意味があると述べた。
我々はアップルにコメントを求めたが、返答はまだない。
アイザックソンのインタビュー映像は以下。
※敬称略
(翻訳:Toshihiko Inoue、編集:増田隆幸)