次世代モバイル通信として「5G」が大きな注目を浴び始めている。ただ、企業幹部の5Gへの理解が進んでいるとはいえない。その革新性を正しく理解せず、5Gのポテンシャルを過小評価しているようでは、貴重なビジネスチャンスを逸することになる。それどころか、破壊的変化の波に飲まれて、事業存続の危機に直面する可能性すらあるだろう。


 アクセンチュアが10ヵ国の2000人近い技術系・事業系の企業幹部を対象に実施した最新調査では、「5G」として知られる次世代のモバイル・ネットワーク技術に関する、大きな不確実感が明かされた

 たとえば、5Gネットワークによる通信速度の劇的な向上について、業界の予測を信じる人は回答者の少数であった。そして、半数以上は、5Gによって現在できないことができるようになるとは期待していなかった。4分の3近い回答者は、5Gの活用例がすぐには思い浮かばないと述べている。

 これらの所見から示唆されるのは、多くの企業幹部たちが、5Gの技術、および破壊的変化をもたらす5Gのポテンシャルを理解していないということだ。

 5Gは、完全に導入された際には、非常に大きな変化をもたらすだろう。これまでのどの通信世代のときよりも、はるかに大きなモバイル技術の変革となる。

 超高速の通信、多数同時接続を可能とする容量、そして劇的に減少する電力消費量と通信レスポンスタイム(すなわち低遅延)により、驚くほど広範囲での革新的な新製品とサービスが可能になるはずだ。経済的・社会的な恩恵は計り知れない。

 5Gネットワークは、以前よりはるかに小さいがより高い密度に配置されるアンテナを利用し、そのほとんどが、巨大な基地局ではなく、既存のビルや電柱などの物理的なインフラに装着される。

 ネットワークを圧縮、つまり高密度化することにより、信号はより速く、より確実に伝達されるようになり、1秒当たりの処理能力の測定単位はメガビットではなくギガビットになる。初期の試験からは、5Gネットワークは、今日のモバイル技術よりも100倍ほど速くなることが示唆されている。