この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。
「脱ダメ会議」の実現に向け、会議の基礎を解説するこの連載。これまでは会議開始時と終了時のポイントを紹介してきたが、今回は会議進行時のポイント「議論を可視化する」について解説しよう。
基本動作1〜3は、議論を引き出し、対話を促進するためのコツだった。実践すると、活発に意見が交換されるようになるだろう。これだけでも十分良い会議になるのだが、副作用もある。発言量が増え、議論が混沌としてくるのだ。これに対処する方法が、基本動作4「議論を可視化する」だ。
やるべきことはシンプルだ。書けばいい。
「書く? それだけ?」と思われるかもしれないが、「書く」ということは極めて重要なのだ。当たり前だが、人の発言は目に見えない。だから、“書かない”会議では、誰が何を言ったか全部記憶しながら議論していることになる。
人間は一度に7つのキーワードしか覚えられないといわれているが、2時間の会議で上がるキーワードはとんでもない数になっているはずだ。例えるなら、「目隠し将棋」と同じ状態で、全てを記憶しながら議論するのは、とうてい無理だ。
目隠し将棋は、将棋盤を用意せずに「2四歩」「3五飛車成」などと言葉だけで将棋を指すことだ。頭の中に将棋盤を描き、自分の手駒がいくつあって、相手の手駒は何で……と全て頭の中で処理して、次の一手を考えるわけだ。プロの棋士がパフォーマンスでやってみせることもあるが、想像しただけで凡人にはマネできない神業だと分かるだろう。
しかし、書かない会議ではこれと同じことが起こっている。無意識のうちに、脳のリソースの大半を記憶することに割いているのだ。
これを開放するのが、書くという行為だ。頭の中の将棋盤が、書くだけで目の前に現れる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング