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データ保護ソリューションを提供するVirtru、日本市場への本格参入を発表

ソリューションを日本語化、パートナープログラムを拡大

 米Virtru(バートルー)は23日、Office 365やG Suiteなどのクラウドアプリケーションと連携し、暗号化および鍵管理機能を提供する「Virtru Data Protection 日本語版」の提供を発表した。

 Virtruは、米国国家安全保障局(NSA)でクラウドセキュリティアーキテクトのリーダーを務めていたWill Ackerly氏と、その実兄でホワイトハウスで技術アドバイザーを務めた経験を持つJohn Ackerly氏により、2012年に創設された企業。

 Virtru Data Protectionは、Will Ackerly氏がNSA在職中に開発したオープン規格「Trusted Data Format(TDF)」を活用。Google Chromeの拡張機能やOutlookアドイン、iOS/Androidアプリの提供により、Office 365やG Suiteなどのクラウドアプリケーションに暗号化機能と鍵管理機能を提供する。

 メールの場合、送信メッセージについて、どの受診者がメッセージや添付ファイルを開封したのか、第三者に転送したのかといった履歴を確認できる。メッセージの送信後であっても復号鍵を取り除くことで、メッセージや添付ファイルの閲覧を取り消すことができ、閲覧有効期限や共有制限の設定、各種ファイルへの透かし追加とダウンロード禁止なども設定できる。

 また、クレジットカード番号や所定キーワード、添付ファイルの種類などが含まれるメールを送信しようとした際に、警告を表示する機能を搭載。メールゲートウェイや自社で暗号鍵サーバーを管理するための「Customer Key Server(CKS)」オプションも提供する。

 Googleドライブとの連携では、Googleドライブ内のファイルやフォルダーをワンクリックで暗号化でき、ドライブ内のファイルを外部と共有する前に変換して暗号化することや、ファイルをGmailに添付して暗号化することが可能。誤って共有されたファイルや内容が機密であるファイルへのアクセスを瞬時に禁止することや、暗号化されたファイルの転送経路をアクセスした人物を監査することなどに対応する。

 セキュリティ面では、SIEMやCASBなどのセキュリティ製品との統合機能を提供。また、開発者やパートナー向けには、各種システムやサービスとVirtruとの連携を可能にするSDKライブラリーを提供する。

 今回、Virtruではサービスについて、利用者および管理者向けユーザーインターフェイスを日本語化し、日本版のサービスとして提供を開始する。

 また、これまで提携してきたソフトバンク株式会社とのパートナーシップの成功に基づき、日本市場へのVirtrベロシティパートナープログラムの拡大を発表。これらの取り組みを通じて、より多くの日本の組織が「データが持つ潜在的な可能性」を活用でき、データの不正使用や悪用、盗難から保護することを目指すとしている。

データを保護しながら安全な形で共有

Virtru CEO兼共同創業者のJohn Ackerly氏

 Virtru CEO兼共同創業者のJohn Ackerly氏は、「クラウドを利用している社会ではたくさんのデータを共有しているが、それらのデータの保護については、インターネットで最も欠けている部分と言われてきた。セキュリティには多額の投資が行われてきたものの、データの保護は実現できていなかった」と説明。「悪意のあるユーザーは社内にもいて、彼らはクラウドにアクセスできる。そうした状況で、クラウドに格納しているデータを保護することがVirtruのミッションだ。クラウド、オンプレミス、さらには社外のパートナーとの共有においてもデータを保護する」と語った。

 Ackerly氏は、「我々の最初のアイディアは、データを保護しながら安全な形で共有したい、データのオーナーが常にそのデータをコントロールできる状態にしたい、というものでした。さらに、これを人気のあるプラットフォームと統合すれば、多くのユーザーがデータのコントロール権を取り戻せるのではないかと考えました。それはつまり“秘密”ではなく、プライバシーを保護するということです」と説明。データ保護と共有を使いやすくすることにより、デジタルの世界におけるプライバシーを保護していくとした。

 市場への展開については、「脅威への対応ということでは、エンタープライズ市場への展開が一番プライオリティが高いと思うが、SMB市場もエコシステムを完璧にする上では重要となる。我々のソリューションは、誰でも簡単に使えるようにすることに情熱を注いできている」と説明した。

 日本でのサービスについては、「2020年には東京でオリンピックが開催されるが、データの保護は喫緊に解決しなければならない問題だ。このタイミングで、日本にVirtruのソリューションをリリースできることを嬉しく思う。インターフェイスを完全に日本語化するとともに、パートナープログラムも発表しており、今後も日本に長くコミットメントしていきたい」とコメントした。