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Google Cloud、GCP上でSQL ServerとActive Directoryのマネージドサービスを提供へ

Google Cloud Next '19基調講演レポート

 GoogleのクラウドサービスであるGoogle Cloudのカンファレンス「Google Cloud Next '19」が、4月9日から4月11日まで米国サンフランシスコにて開催された。

 2日目の基調講演では、ハイブリッドクラウド関連や、セキュリティ関連、データベースなどのデータプラットフォーム関連、AI/機械学習関連、G Suite関連、開発関連の新サービスやプロダクトが発表された。

 本記事ではそのうち、データプラットフォーム関連の発表についてレポートする。特にGoogle Cloud Platform(GCP)上でMicrosoft SQL ServerとActive Directory(AD)のマネージドサービスを新たに提供したことはインパクトを持って迎えられた。

GCPでSQL ServerとADのマネージドサービス

 Deepti Srivastava氏(Product Manager, Cloud Database)は、「Googleはトランザクショナルデータベースから分析サービスまで、幅広いデータサービスのポートフォリオをそろえている。しかもすべてセキュリティ完備だ」と切り出す。

 そして「それにはWindowsプラットフォームも含まれる」として、フルマネージドのMicrosoft SQL Serverサービス「Cloud SQL for Microsoft SQL Server」を発表した。今年中にリリース予定。SQL Serverのライセンスはユーザーが自社保有のものを持ち込むか、Google経由で購入して使う。

 実際にSQL Server 2008のデータベースをCloud SQL for Microsoft SQL Serverに移行するところもデモされた。Microsoft SQL Server Management StudioでSQL Serverのデータベースをバックアップし、GoogleのCloud Storage Bucketsにアップロードする。そして、Cloud SQL for Microsoft SQL ServerにCloud Storage Buckets上のバックアップデータを指定してリストアすると、アプリケーションから同じデータベースが再現された。

Deepti Srivastava氏(Product Manager, Cloud Database)
フルマネージドのMicrosoft SQL Serverサービス「Cloud SQL for Microsoft SQL Server」発表
Microsoft SQL Server Management StudioでSQL Serverのデータベースをバックアップ
Cloud SQL for Microsoft SQL Serverにリストア

 続いて「重要なのはデータベースだけではない」として、Windows環境の認証・認可で使われるADについても、マネージドサービス「Managed Service for Microsoft Active Directory」を発表した。こちらも今年中にリリース予定。オンプレミスとのフェデレーションもでき、Windows ServerアプリケーションをGCPに移行したときに、低遅延で認証・認可ができる。

 Cloud SQL for Microsoft SQL ServerとManaged Service for Microsoft Active Directoryにより、セキュリティなどの管理をマネージドサービスにまかせることで「WindowsワークロードをGCPでセキュアにする」と、Srivastava氏は、企業のWindows ServerワークロードのGCP移行に意欲を見せた。

マネージドサービス「Managed Service for Microsoft Active Directory」発表

ETLサービスからBigQuery応用サービスまで、データ分析関連の新サービス

 次のテーマとしては、データ分析関連のサービスに関して、Julie Price氏(Big Data Specialist, Cloud Customer Engineer)が紹介した。

Julie Price氏(Big Data Specialist, Cloud Customer Engineer)

 Price氏がまず問題としたのがデータのサイロ化だ。この問題にETL/ELTサービスの「Cloud Data Fusion」が新発表された(ベータ版)。オープンソースの「CDAP」がベースで、多種多様なコネクターがすでにそろっており、オンプレミスおよびクラウドのさまざまなデータソースと接続できるという。Web上のGUIで「数クリックでデータのパイプラインを作れる」とのことで、実際にその様子がデモされた。

ETL/ELTサービスの「Cloud Data Fusion」発表
数クリックでデータのパイプラインを作れる

 続いて新発表されたのは「BigQuery BI Engine」だ(ベータ版)。BigQueryの超高速なインメモリの分析サービスで、まずはGoogle DataStudioから使える。

「BigQuery BI Engine」発表
BigQuery BI EngineをGoogle DataStudioから使う

 次に新発表されたのは「Connected Sheets」だ。BigQueryの能力をGoogleスプレッドシートのUIで使えるようにしたもので、数十億行のデータから数クリックで分析できるという。またスプレッドシートの数式などの機能も使える。

「Connected Sheets」発表
BigQueryの能力をGoogleスプレッドシートのUIで使える

 その次の新発表が「AutoML table」だ(ベータ版)。BigQueryやCloud Storageの構造化データに対して、コードなしで機械学習を使える「AutoML」の機能を提供するものだ。数クリックの操作だけで機械学習モデルを構築できるという。構造化データを扱うデータサイエンティストを対象にしている。

「AutoML table」発表
構造化データに対してAutoMLの機能を提供

Google Cloud Storageで長期保存目的のストレージクラスを提供

 基調講演で取り上げられたほかにも、データプラットフォーム関連の新発表がなされている。

 オブジェクトストレージのGoogle Cloud Storageのストレージクラスとして、長期保存目的のアーカイブ用クラスが新たに発表された(近日登場予定)。旧来はテープに保存していたようなデータを対象にしたもので、料金は1か月にGBあたり0.0012ドル。ただし、テープや同様の長期保存用ストレージサービス(Amazon GlacierやAzure Archive Storage)と異なり、一度データを取り出すような操作は不要だという。

Google Cloud Storageにアーカイブ用クラスが発表。写真は別途開催されたプレス説明会より