企業ユーザーのセキュリティ意識高まるもパスワードは使い回し--Oktaの調査

　サイバーセキュリティリスクについての警告が、ついに業務アプリのユーザーに浸透しつつあることを示す調査レポートが発表された。しかし、分野によってはセキュリティに大きな穴を開けてしまう行為をしてしまっているユーザーが多いことも同じ調査で明らかになっている。

　IDとデバイス管理技術のOktaが米国時間2月7日に発表した年次報告書「Businesses @ Work」によると、自社顧客の中で急速に成長している業務アプリの中で、セキュリティが関連したものが増えているという。Oktaユーザーで最も成長しているアプリの上位3つは、セキュリティの意識をトレーニングするアプリ「KnowBe4」、パスワードマネージャーアプリの「LastPass」、電子メールセキュリティとセキュリティへの意識をトレーニングする「Proofpoint」となっている。

　Oktaはこの報告書の作成にあたって、5600社の顧客、および従業員と契約社員、パートナーとその顧客の匿名化されたデータを利用した。調査はOktaを使ってどんなアプリとサービスにログインしているのかがわかるものであって、必ずしも全体の市場トレンドを反映しているものではない。Oktaはまた、様々な規模や業種の企業に勤務する米国のナレッジワーカー1200人についても、Qualtricsに依頼して調査している。

　2018年、Oktaユーザーの間でKnowBe4の利用は前年比178％の伸びを示した。Oktaが指摘しているように、調査からは情報セキュリティ攻撃の大部分が、悪意ある不正行為ではなく人的エラーが発端となっていることがわかった。同時に、Oktaの調査では「会社でサイバーセキュリティトレーニングに参加したことがある」と回答した人は49％に過ぎないこともわかった。

アプリ利用の伸び率（前年比）
提供：Okta

　2位のLastPassの利用は、Oktaユーザーの間で前年同期比132％増加した。Proofpointは同122％だった。パスワード管理は、エンタープライズアプリのユーザーにとって重要な分野で、Oktaの調査でも、40％近くの人が「2種類から4種類のパスワードをほぼ全てで使い回ししている」と回答、10％が「1種類しかパスワードを利用していない」と述べた。

　セキュリティアプリの人気に加えて、Oktaの最新のデータからは、顧客はGoogleの「G Suite」よりもMicrosoftの「Office 365」を好むことも分かった。

　Oktaユーザーの間でOffice 365は、アプリを導入した顧客数とアクティブユニークユーザー数の2つの点で最も人気のあるアプリとなっている。後者のアクティブユニークユーザーとは、過去30日にOktaを使って少なくとも1回アプリにログインしたユーザーを指す。

アプリを導入した顧客数
提供：Okta

　顧客数の点から見てOffice 365に次いで人気があるのは「Salesforce」だった。以降は、「Amazon AWS」「G Suite」「Box」「Slack」「SAP Concur」「Jira」「Zoom」「Cisco Meraki」「DocuSign」「Zendesk」「Dropbox」「ADP」「ServiceNow」と続いている。

　Oktaの調査によると、67％のナレッジワーカーがGoogle DocsよりもMicrosoft Wordを好むとした一方、15％がその逆の回答をしている。電子メールに関しては、49％がGmailよりもMicrosoft Outlookを好むとする一方、35％がその逆の回答をしている。

　興味深いことに、開発者向けツールに投資している企業は、開発者向けツールを持たない企業の3倍の確率でG Suiteを導入していることもわかった。