イベントレポート

Intel、Cascade Lake-SPを出荷開始

Cascade Lake-SPのパッケージを公開するIntel 上級副社長 兼 データセンター事業本部 事業本部長 ナビン・シャノイ氏

 Intelは、CESの前日にあたる1月7日(現地時間)に記者会見を行ない、同社の最新製品となるデスクトップPC向けの第9世代Coreプロセッサの新SKU、10nmで製造されるクライアントPC向け次世代製品の「Ice Lake」や「Lakefield」など多数製品を発表した。

 その記者会見の後半で、Intelはデータセンターに関する内容に時間を割き、複数の発表を行なった。1つは現在のデータセンター向けプロセッサの主力製品となっているXeon SP(開発コードネーム:Skylake-SP)の後継として計画されているCascade Lake-SPを、顧客向けに出荷開始したことを明らかにした。

 また、Intelは携帯電話基地局で使われるSoCとして、10nmで製造されるSnow Ridgeを計画していることを明らかにし、2014年の段階では0%だったシェアを2022年には40%にまで引き上げると宣言した。

Cascade Lakeの顧客への出荷を発表、Intel Deep Learning Boostのデモを行う

Intel 上級副社長 兼 データセンター事業本部 事業本部長 ナビン・シャノイ氏

 Intelの記者会見の後半に登壇したIntel 上級副社長 兼 データセンター事業本部 事業本部長 ナビン・シャノイ氏は、同社のデータセンター関連製品に関して説明を行なった。とはいえ、この記者会見はコンシューマ向け家電見本市というCESのタイミングで行なわれたもので、そこでデータセンターの話というのは、やや奇異に聞こえるのではないだろうか。

2018年の11月11日にアリババが中国などを対象に行なった「独身の日」キャンペーン
その背後ではIAサーバーが活躍していたとアリババの幹部が説明

 シャノイ氏もそのことを言い、アリババが11月11日に中国で行なった「独身の日」による電子商取引のキャンペーンの例を紹介し、そうした電子商取引の背後にはデータセンターがあり、それはIA、つまりはIntel Architectureベースになっているとして、データセンターと一般消費者の商習慣が密接に結びついているのだとした。

Cascade Lake-SPの出荷を開始

 データセンター向け製品のロードマップについて、「我々はCascade Lakeを顧客に対して出荷開始した」と述べ、Intelが現在のデータセンター向け主力製品であるXeon-SP(Scalable Processor)の後継製品を出荷開始したことを明らかにした。この出荷は“Revenue Shipment”と呼ばれる売り上げがあるかたちの出荷で、まもなく正式に発表し、販売できる段階に来ていることを意味している。

Intel Deep Learning Boostのデモ

 Cascade Lake-SPは、新たにVNNI(Vector Neural Network Instructions)と呼ばれるAVX512の拡張命令に対応し、従来世代よりもよりディープラーニング/マシンラーニングの処理が高速になる「Intel Deep Learning Boost」などの新機能が搭載されている。

 説明のなかで、WRNCHATというソフトウェアを利用し、GPUよりもIntel Deep Learning Boostを有効にしたXeonプロセッサのほうがが5倍速いというデモを行なった。

今年後半に提供が計画されているNervanaベースのNNPの開発パートナーにはFacebookが選ばれた

 また、シャノイ氏は、数週間前にできたばかりという次世代Ice Lake(のサーバー版)のサンプルを利用して、よりリアルなグラフィックスを再生できるデモを行なった。

右がIce Lakeを利用した処理

10nmプロセスルールのSnow Ridgeを基地局向けに提供、市場シェア40%を目指す

2019年は5Gの年に

 シャノイ氏はIntelの5Gの取り組みについても説明した。5Gはすでにいくつかの国ではサービスが開始されており、2019年は5Gが各国でじょじょにサービス開始展開する年となる。Intelもそれに併せて準備を進めており、すでに2018年の段階でクライアント向けのXMM8060などの5Gモデムを発表し、今年の後半に出荷するスケジュールを明らかにしている。

Intelの5G向けソリューション

 今回のCESでは、その5Gのサービスインに向けて今後設置が進む携帯電話基地局向けの半導体の製品計画を明らかにした。最初の5Gは、NSA(Non StandAlone)と呼ばれる、4Gの基地局のハードウェアを一部使いながら5Gを実現する仕組みで導入が始まっているが、今後はSA(StandAlone)と呼ばれる、最初から5Gに特化したハードウェアを使った基地局が導入される予定。とくに中国といった、4Gのインフラが他国に比べて少ない国などは、NSAではなく、SAで5Gの構築を計画している通信キャリアが多い。

 そうしたSAの5Gや、4Gでも一部の基地局は、SDN(Software Defined Networking、ネットワークのソフトウェア定義)、そしてNFV(Network Functions Virtualization、ネットワーク仮想化)と呼ばれる、汎用のプロセッサを利用し、ソフトウェアによりネットワークの機能を実現する仕組みが採用されている。それにより、機能の追加を容易にしたり、アップデートを簡単にできるようにしている。あるいは負荷が急速に高まった場合でも、処理能力の一部を負荷がかかっている部分に振り分けたりなどもソフトウェアベースで実現できる。

Snow Ridgeを搭載した基地局用のハードウェア
99.95Gbpsの性能を実現

 そのSDNの基地局向けの製品としてIntelが計画しているのが「Snow Ridge」だ。シャノイ氏によれば、Snow Ridgeは10nmで製造されるSoCで、基地局でパケットの処理などを行なう役目を果たすことになる。デモでは99.95Gbpsという性能が示されており、基地局を構築するのに十分な性能を持っているとアピールされた。

2014年にはゼロだった市場シェアを2022年には40%超を目指す

 シャノイ氏は「2014年の段階で我々の基地局向け製品の市場シェアはゼロだった。しかし2022年にはそれを40%超にしたいと考えている」と述べ、IntelがSnow Ridgeなどにより市場シェアを獲得することができると自信を示した。