新たな採用活動として注目を集めている「リファラル採用」。

なぜ今、リファラル採用は注目を集めているのでしょうか?

その理由と導入メリット、成功例について、リファラル採用クラウドサービス「Refcome(リフカム)」を運営する株式会社リフカム・広報の小林佳徳氏に伺いました。

小林 佳徳氏プロフィール

1973年山梨県甲府市生まれ。
大日本印刷、ベネッセコーポレーションと大企業を経験後、2003年、ライブドアへ入社。ライブドア・ショック後、経営企画部門にてリブランディングを行いエンジニアのリファラル採用を成功。その後、ベンチャーでのインターン採用の仕組み化、執行役員を経て、2018年2月より「紹介したい会社で溢れる世界」を創る、リファラル採用クラウドサービス 「Refcome」を運営する株式会社リフカムに入社。働きがいのある働きやすい会社づくりをミッションとする組織開発部部長(現職)。
著書に『社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話』(宝島社より)。

なぜ今「リファラル採用」が熱いのか?

refcome_-_2.jpg

ferret:
最近よく聞く「リファラル採用」ってどんな制度ですか?

小林氏:
僕もリフカムに入社するまでは「リファラル採用って何だろう?」と思っていたのですが、実は昔から存在していて、既に日本企業の30%で導入済みの採用手法なんです。

ferret:
ええ!知らなかったです......。

小林氏:
かんたんに説明するとリファラル採用は、自社の社員が会社にマッチする人を紹介する採用手法のことです。リファラルという言葉が普及するまでは「縁故採用」といって、転職が今ほどメジャーではない時代は、いわゆる「コネ入社」や「引き抜き」のような、ちょっとネガティブなイメージがあったんです。

ferret:
なるほど。最近になって注目を集めている理由はどこにあるのでしょうか?

小林氏:
求職者の情報収集スタイルが変化したことに大きな理由があります。これまで一般的だったエージェントや大手メディアではなく、身のまわりの人やSNSを経由して、新しい仕事をみつけるように変化しました。

ferret:
情報の入り口がマスから個人へ変わってきたのは、広告マーケティングの変遷と全く同じですね。

小林氏:
そうですね。今はSNSを使えば誰でもかんたんに繋がれる時代ですので、仕事を探している人にとっては転職しやすい環境ですし、企業からすると、エージェント頼みの採用活動から脱却するための新たな活路としてリファラル採用に注力する動きが活発化しています。

リファラル採用導入のメリット・デメリット

ferret:
実際、リファラル採用を導入するとどんな良いことがあるんでしょうか。

小林氏:
導入メリットは3つあります。

1つ目は、ミスマッチが減ること。エージェントは求職者の入社でインセンティブをもらうため、すべての人材紹介会社がそうではありませんが、会社の良い情報だけを流してとにかく入社させてしまうケースもあります。一方リファラル採用は、社員を経由するため裏表ない情報に接した上で入社を決めてもらうため、マッチ度が非常に高い傾向にあります。

2つ目は、コスト削減です。エージェントや大手媒体への仲介手数料に比べると、管理ツールやインセンティブを導入したとしても、1人あたりの採用コストは大幅にカットできます。

ferret:
そういえば「リファラル採用が上手くいったら社員に●万円支給」という企業を見たことがあります。

小林氏:
会社によって様々ですが、採用を活発化させるために約60%の企業が金銭的なインセンティブを用意していますね。 一方で、金銭的なインセンティブを一切使わずに成功しているケースも多くあり、表彰や社長とのランチなど金銭ではない形式でインセンティブを付与している企業もあります。

ferret:
報酬のない場合もあるんですね。導入メリットの3つ目は何ですか?

refcome_-_3.jpg

小林氏:
3つ目は、ターゲットの裾野を広げられること。リファラル採用は、企業との出会いを提供する場でもあるので、イベントやライトな面談へ誘導することで、まずは企業理解を深めてもらうというのも使い方のひとつです。これまでエージェント経由の採用活動だと顕在層にしかリーチできませんでしたが、リファラル採用を通じて一度繋がっておけば、例えそのとき転職ニーズが顕在化していなくても、時間が経ってから転職意欲が顕在化したとき採用に繋がるケースもありえるので。こういった将来の採用活動の種まきとしても、とても期待されています。

デメリットは「即効性の低さ」

ferret:
リファラル採用、良いことばかりですね!

小林氏:
いえいえ、やはりデメリットもあります。

例えば、リファラル採用は特定の職種を狙い撃ちしたくても社内に同職種の社員がいなければ広がりづらい傾向があります。極端な例でいえば、経理がエンジニアを紹介できる可能性は、そこまで高くはないです。もちろん、友人が知り合いを紹介してくれるケースもありますが。

ferret:
なるほど。でも、職種を網羅するくらいの社員数であれば問題なさそうですね?

小林氏:
それでいうと、すべての会社に共通していえるデメリットもあるんです。おそらく即効性の低さは、どの企業であっても免れにくいと思います。いざリファラル採用を導入しようとしても、就業規則を変える準備も含め、社員への周知から定着までに半年、一般化には1年かかるのが平均値です。なので導入直後に過度な効果を期待をするのは、難しいでしょう。

ちなみに、採用活動の全てをリファラル採用に委ねている企業の割合は非常に少なく、平均すると1企業の採用活動全体に占めるリファラル採用の割合は0〜10%程度になります。大手のIT企業の中には60%を占めるケースもありますが、まだまだ非常に稀な例なのです。