10.1インチの大画面タッチディスプレイを搭載したスマートスピーカー「Echo Show」。
- 日本では唯一の大画面付きスマートスピーカーである「Echo Show」
- Amazon プライム・ビデオは視聴できるが、ネットフリックスやhuluなどには非対応
- YouTubeは内蔵ブラウザーでの表示という形で対応している
アマゾンは12月12日、10.1インチの大型ディスプレーを搭載したスマートスピーカー「Echo Show」の出荷を日本でも開始した。「Echo Spot」に続き日本で2機種目となるディスプレー付きのスマートスピーカーとなるが、その使い勝手を実機で確認してみた。
大画面ディスプレーで設定は簡単
Echo Showの箱を開けると本体、ACアダプターが入っていた。
Echo Showは日本で展開されているEchoシリーズの中で最も大きく重い。そのため、外箱もEchoシリーズ1の大きさだが、中身は本体と電源ケーブル、説明書だけが入っているシンプルなものだ。
最初、説明書が見当たらなかったが、本体を開けると挟まっていた。とはいえ、Echo Showのセットアップは画面に表示されるので、この紙の説明書を見る必要はほぼないのだが。
Echo Showに付属していたACアダプター(写真左)を確認してみると30Wと、Echo Spot(写真右)のACアダプターと比べて出力もサイズも大きめのものだった。
Echo Spotもそうだったが、Echo Showのセットアップはディスプレーで文字の入力などが可能なため、スマートフォン向けアプリと接続せずに単体でできる。
Wi-Fiにつなげた直後は、ファームウェアのアップデートが来ていたためやや時間がかかったが、Amazonアカウントを入力すれば今までのEchoで使っていたスキルや家の中のスマートホーム機器を自動で認識してくれるのは非常にお手軽だった。
画面なしのEchoデバイスではスマートフォンのアプリ経由で行なう設定も、Echo ShowやEcho Spotなら画面に直接入力して設定できる。
セットアップ直後から、家のスマートホーム機器や以前使っていたスキルが使えるのはうれしい。
大画面を活かす映像コンテンツはまだ少なめ
写真左から10.1インチのEcho Show、2.5インチのEcho Spot。
自分もそうだがEcho Showに期待することは、やはり映像視聴がEcho Spot(写真右)に比べてどこまで快適になるかだろう。だが、結論から書くとEcho Showの大画面が生きる機能やコンテンツはまだ少ないため、過度な期待は禁物だ。
映像コンテンツで言えば、Amazonプライム・ビデオは当然利用できる。あとは「NHKニュース」などフラッシュニュースに対応したスキルで映像を配信しているものもちゃんと再生される。
Amazon プライム・ビデオを表示したところ。再生中は「アレクサ、一時停止」「アレクサ、音量上げて」などのボイスコントロールにも対応。
フラッシュニュースで動画配信に対応している代表例は「NHKニュース」。「アレクサ、次へ」で次のニュースに移動できる。
ちなみに、音楽配信の「Amazon Music」にももちろん対応。歌詞表示をShowとSpotで比べてみると、大画面のアドバンテージを感じられる。
そのほか、Echo Showにピッタリのスキルと感じたのは、以前Echo Spotで試した「クックパッド」のスキル。Echo Spotで1画面におさまらなかった材料や手順がほぼ1画面におさまるのはうれしい。
クックパッドスキルと起動してレシピを表示したところ。動画付きのレシピであれば、動画の再生もできる。
また、TOKYO MXが配信している「エムキャス」スキルもオススメ。エムキャスはTOKYO MXやウェザーニュース、群馬テレビなどを地域に限らず視聴できるスキルで、地上波を受信していない筆者宅では隠れたキラースキルとなっている。
また、Echoシリーズ間で行える通話・ビデオ通話も大画面なら快適だ。通話機能は自宅内の端末だけではなく、相手のAmazonアカウントを指定すれば外のEchoデバイスなどとも接続できる。例えば両親や親戚と離れて暮らしている場合、セットアップさえ済ませておけばEchoデバイスでコミュニケーションがとれるというわけだ。
エムキャススキルでは、TOKYO MXを含む全5チャンネルの放送を視聴できる。
ビデオ通話で相手の顔が見やすいのも大画面だからこそ。ちなみに、インカメラの解像度はEcho SpotがVGA画質なのに対し、Echo Showでは5メガピクセルと高画質化している。
ただ、気になった点が1つある。それは音量だ。
Echo Showはドルビー対応のスピーカーを搭載しており、プライム・ビデオの映画コンテンツの音もしっかり再生できる性能をもっている。
しかし、映像を再生中に合わせて音量も上げておくと、アレクサの声もいっしょに、というより映像の音以上に大きな音量でアレクサの声が再生されてしまう。それを防ごうとアレクサに合わせて音量を下げると、映画の役者の声はほとんど聞こえなくなってしまい、かなり困った仕様だと感じた。
念のため、サウンドの設定を覗いてみたが、アレクサの音量だけを下げる機能は見つからなかった。
内蔵ブラウザー機能で汎用性は高まる
Echo Showには2つのブラウザーがプリインストールされている。
また、映像コンテンツが少ないと感じた大きな原因は、Echo Showが筆者が使っている以下の動画配信サービスに非対応だからだ。
- YouTube
- ネットフリックス
- AbemaTV
- TVer
- dアニメストア
- dTVチャンネル
とくに残念に感じたのはAbemaTVだ。AbemaTVは同名のスキルを配信中だが、その機能はAbemaTVの現在の人気ランキングを読み上げるだけで、AbemaTVのコンテンツを視聴をするためのスキルではなかった。
また、ネットフリックスやdアニメストアも現時点では非対応。この2つのサービスはアマゾンのFireタブレット向けにアプリが配信されているので「できるのでは」と思っていたが、執筆時点では対応していない。
非対応サービスの中で特に例外なのは「YouTube」。
そんな中、YouTubeだけはスキルでは非対応ながらも、おもしろい挙動をする。なんと「アレクサ、YouTubeを開いて」と言うとブラウザーが起動して、モバイル版YouTubeが表示される。
モバイル版YouTubeが表示されるが、もちろん全画面での再生に対応。
このような仕様になっている背景には、アマゾンとグーグルの熾烈なサービス争いがあるためなのかもしれない。細かい経緯はここでは省くが、スマートスピーカーなどで競合し合う両社の間では、例えば米アマゾンでグーグル傘下のスマートホーム機器メーカー・Nestの製品がなかったり、FireタブレットやEchoデバイスでYouTubeアプリやスキルが存在しない、という事態が発生している。
Echo Showはタッチ入力のほか、音声での文字入力にも対応しており、YouTube内のコンテンツを探すのにも使える。
子どもの居る家庭では、自由にインターネットへアクセスできるブラウザーに触れさせたくないと考える場合もあるだろう。そんな要望に応えるかのように、設定画面には「ウェブブサウザーの禁止」という項目も用意されている。
ちなみに、このブラウザー機能だが「TVerを開いて」「ネットフリックスを開いて」「huluを開いて」などには対応していない。ブラウザーだけを開きたいときは「Firefoxを開いて」と言えばいい(なぜか「ブラウザーを開いて」と言っても動作してくれない)。
ブラウザーはタブレットで表示しているときと同じ挙動をするため、サイトによってはモバイル版の機能しか使えなかったり、スマートフォンアプリのインストールを勧めてくる。
そのため、「ブラウザーが動くからウェブのサービスなら絶対に使える」とは決して言えないが、提供されているスキル以外の情報やサービスにも触れられるため、汎用性は幾分上がるだろう。
日本で唯一の大画面付きスマートスピーカーは買いか?
筆者の自宅では、キッチンに置いておくことに。Spotと比べれば存在感はあるが、画面付きスピーカーの利便性はさらに上がるだろう。
Echo Showのライバルとしては、グーグルの「Google Home Hub」やLINEの「Clova Desk」などもあるが、Google Home Hubは日本未上陸、Clova Deskは6月に発表されているが発売時期は“今冬”からアップデートされていない。つまり、大画面付きスマートスピーカーをいち早く試したい、というのであれば現時点ではEcho Show以外の選択肢は存在しない。
大画面ならではの操作のしやすさ、大画面&高音質スピーカーでのAmazonプライム・ビデオの視聴、その他ブラウザーを含むディスプレー表示対応のスキルに魅力を感じるのであればEcho ShowはほかのどのEcho製品より買いだ。
とりあえず、我が家ではレシピの表示やタイマーの設定など「料理中のお供」用としてEcho SpotからEcho Showに置き換えた。キッチンから離れられない作業をしている際に、プライム・ビデオやYouTubeが見られると家族からの評判も高い。
(文、撮影・小林優多郎)
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