テック業界にもアイデンティティ・ポリティクスは存在します。

私たちの生活はデバイスに支配されており、商品、プラットフォーム、サービスの対立をあおる人たちによって、ばかげた議論が繰り広げられているのです。

どのデバイスを選ぶかで、あなたの人生の価値が決まるわけではありません。自分の選んだデバイスやサービス(あるいはそのブランド)への批判を、あなた個人の人生の選択への批判ととらえないでください。そのような対立は、テスラとエジソンの時代からずっと続いているのですから。

この記事では、現代における有名なテック論争を紹介します。あなたも気づかぬうちに、これらの議論に参加しているのではないでしょうか。

Windows対Mac

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Image: Lifehacker US

テック業界で昔から続く忠誠関係の1つです。Appleは昔から、これを広告キャンペーンに利用しています。あなたはパソコンくん? それともMacくん?

Android対iOSと同じように、Mac対PCの議論の中心は、最近では「カスタマイズ性」より「使いやすさ」に移っています。Windows 10は、表面上は非常にアクセスしやすい構成になり、コンピューターのコアシステムへのアクセスはデフォルトで裏側に隠されています。

また、Macはあらゆる側面が直感的で使いやすく、アプローチしやすいようにデザインされています。

その体験を損なわないため、macOSではコンピューターのコアシステムへのアクセスを制限しているほど。そのため、Windowsにおけるプログラムのインストールやアンインストールといった一見シンプルな操作でさえ、Macユーザーには複雑すぎると感じられます。Macでは、Finderから直接アプリを削除するだけで済むからです。

一般的に、Macに傾倒しやすい人のタイプは決まっています。クリエイティブ。学生。機能より形から入る人(または機能と形の両方を重視する人)。もちろん、PCにも特定のファンはいて、プログラマー、ゲーマー、システムビルダーなどがそれに当たります。考えてみると、Macの新しいデスクトップをスクラッチから作る人はあまりいませんよね。

メインのコンピューターとしてスマートフォンがPCを凌駕する時代において、Windows対Mac論争はやや落ち着いてきた感があります。

現在でもハードコアなMacファンやWindowsファンはいるものの、多くの人が、双方の強みと弱みを認識してきたのかもしれません。WindowsにmacOSをインストールするBoot Campが出ることはまずなさそうですが、両プラットフォームが共存する態勢はできてきているように感じます。

iOS対Android

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多くの人にとって、スマートフォンは最重要テクノロジーといって差し支えないでしょう。

主なコミュニケーションツールであるだけでなく、世界と接触するときに最初に手を伸ばすのもスマートフォンではないでしょうか(たとえ親友が隣に座っていても)。

そのスマートフォンの2大プラットフォームに関する議論になると、誰もが激しく怒り出します。iOSなのか、Androidなのか。

PC対Mac論争と同じように、ユーザーはカスタマイズ性よりも使いやすさを求める傾向にあります。Androidは透明性が高く、デバイスの微調整がしやすくなっています。

一方のiPhoneは、「機能するだけ」で有名です。言い換えると、iPhoneは体験をできるだけシンプルにするために、ユーザーが楽しい実験をするためのいろいろな機能をそぎ落としているのです。

大半の人にとって、それは問題になりません。ただ、「壁に囲まれた庭園」に息苦しさを感じる人にとっては、iOSの制限は問題になるでしょう。

また、Appleは業界全体のハードウェアの進歩を導入するのが遅いとAndroidユーザーは指摘します。たとえばデュアルSIMカードスロットは2010年ごろに出てきたアイデアですが、ようやくiPhone Xs、XS Max、Xrに採用されました。

これは極端な例ですが、Appleが確実に機能して大量生産できるようになるまで最新テックを導入しないことは、まぎれもない事実です。

一方で、iPhone(iOS)は強固なセキュリティに定評があります。同様に、iOS App Storeは規制が厳しいため、マルウェアを含むことがある違法なクローンやコピー品が出回りにくくなっています(とはいえ、Appleの審査チームが完璧なわけではありませんが)。

Apple対Samsung

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iPhone対Android論争の中心となるのが、iPhone対SamsungのGalaxyシリーズの戦いです。この5年で、GalaxyはAndroidスマホの中心的存在になりました。Samsungは現在、Galaxy SをiPhoneのアップグレードとして宣伝しています。

この2大スマートフォンメーカーは、お互いに切磋琢磨しながら成長してきました。

Appleが2013年にiPhone 5SでTouch ID指紋センサーを導入すると、Samsungは翌年にGalaxy S5に指紋センサーを搭載しました。Samsungは同時に、S5にワイヤレス充電を採用。遅れること3年、AppleはiPhone 8にワイヤレス充電機能を追加しました。

このようなちょっとした格差が、ファンの闘争に油を注ぎます。GalaxyユーザーはAppleの新機能導入の遅さをなじったり、逆にヘッドフォンジャックをいち早くなくしたことを批判したりします。一方のAppleファンは、iPhoneをべた褒めする批評家を大きくもてはやします。

このようなデバイス固有の機能開発競争と同時に、この戦いはより広範なiOS対Android論争にも大きく影響します。

GalaxyとiPhoneの差は、そのままiOSとAndroidの差としてとらえられることが多いのです。最近ではGalaxyが、iPhoneからAndroidへの乗り換えのゲートウェイになっています。

かつて、スマートフォンへのゲートウェイがiPhoneであったように。

PS4対X Box

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ゲーマーはテックのファン層として非常に小さい存在でしかありません。それでも、「ゲーム機戦争」は、Sega Genesisが「Nitendon’t」と言い始めたころからずっと続いています。

1つのゲーム機を選ぶことで、コントローラーの好みが決まり、その機種専用のゲームを優先するようになり、社会的な付き合いの範囲も決まります。なぜならマルチプレイヤーゲームのほとんどが、ゲーム機をまたぐ「クロスプレイ」に対応していないからです。そしてゲーマーは昔から、自らの選択を擁護してきました。

現在このゲーム機バトルは、SonyのPlayStation 4とMicrosoftのXbox Oneの 2大勢力に分かれています(Nintendo Switchも愛されてはいるものの、最近は及第点で落ち着いているようです)。

ほとんどのゲームが2大勢力の双方で発売されるため、両者の差を決めるのは、一握りのゲームということになります。

ただ、次世代のゲーム機がどうなるかはまだわかりません。

MicrosoftのXbox部門のトップであるPhil Spencer氏は、次のXboxが開発中であると述べています。Sonyもおそらく、同時期に新機種を発表するでしょう。じきに、「PS5対Xbox 4」戦争が勃発すると思われます。

AMD対Nvidia

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PCゲーマーにとって終わらない抗争の中心が、グラフィックカードです。グラフィックカードはゲームの外観と体験に大きく影響するため、システムビルダーにとっても議論の的になっています。

AMDとNvidiaが2大グラフィックカードメーカーです。どちらのカードを選んでも友達とのゲームプレイには影響しませんが、PCメーカーはできるだけベスト(かつ最速)なシステムを作ってファンを取り込みたいため、論争が巻き起こります。

とはいえ、ここ数年で争いは落ち着いてきたように感じられます。

AMDはPS4Xbox Oneなど多くのデバイスに採用されている一方で、Nvidiaが市場を席巻しています。

一般的にNvidiaのグラフィックカードのほうがパワフルといわれており、同社はそれに乗じたプレミアム価格で売り出しています。

とはいえ、AMDの低・中価格帯商品はNvidiaの同等品より優れているとする報告もたくさんあります。とにかく1秒当たりのフレーム数にこだわりたいゲーマーは、AMDよりもNvidiaを選ぶといいでしょう。

ただし、情勢はすぐに変わる可能性があります。Nvidiaの次世代20シリーズグラフィックカードは、最上級グレードはなんと1200ドルに及ぶほど高価になるからです。そこまで高くなると、Nvidiaの購入に躊躇するプレイヤーが増えると考えられます。

最近では、PCゲーマーが毛嫌いする暗号通貨マイナーの影響で、グラフィックカード論争は一時休戦状態になっています。ここ2、3年、野心的な暗号通貨マイナーたちの貪欲な需要により、両社のハイエンドGPUは入手が難しくなっているのです。とはいえ、Nvidia自身も暗号通貨特需は終わりが近いことを認識しているため、PCゲーマー間の争いが再開される日も近いかもしれません。

Chrome対Firefox

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この抗争はもっとオタクなインターネットの世界で語りつくされていますが、一部どちらかのブラウザに強い思い入れを持っている人がいるようです。選択肢はいくつかありますが、主に話題となっているのは、Google ChromeとMozillaのFirefox Quantumでしょう。

この手の議論は日常への影響で語られることが多いのですが、ことブラウザに関しては、パフォーマンスの議論(あるいは、Googleを信じるか否か)に終始しているのが特徴です。

ChromeとFirefoxはよく似ているように見えますが、Chromeはメモリーを大量に消費するというアキレス腱を持っています。

Mozillaとそのユーザーの多くは、全般的にFirefoxのほうがChromeより速いと主張していますが、Chromeがメモリーを使い果たしたときにその差が顕著になります(とはいえ、Chromeのほうがサイトやウェブアプリの読み込みは速い傾向があります)。

多くのChromeユーザーが、このメモリー問題には耐えています。

なぜなら、他のサイトやサービスとの連携や、Google Chromecastといったデバイスへのストリーミングなど、便利な機能がほかにたくさんあり、そこに満足しているからです。

一方で、このような連携は、セキュリティを心配するユーザーにとっては深刻な問題です。彼らは、Google検索、Chrome、Gmail、Android、Googleアシスタントなど、人々がインターネットと接するあらゆる場所からGoogleが大量のデータを収集していることに腹を立てているのです。

これに対してMozillaは、オンライントラッキングを否定しているようです。

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Source: YouTube, Gizmodo(1, 2, 3, 4, 5, 6), Norton, Sony, Microsoft, PC Games, The Motely Fool, Mozilla

Mike Epstein – Lifehacker US[原文