国際宇宙ステーション(ISS)
NASA
国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)の最初のコンポーネントがロシアのロケットによって打ち上げられてから、11月20日で20周年を迎えた。
2000年11月、NASAの宇宙飛行士ビル・シェパード(Bill Shepherd)、ロシアの宇宙飛行士セルゲイ・クリカレフ(Sergei Krikalev)とユーリー・ギドゼンコ(Yuri Gidzenko)はISSに長期滞在した最初の人類となった。
以来、230人以上の宇宙飛行士が1500億ドルが投じられたISSを訪れた。
現在、ISSは6つの寝室を持つ家くらいの広いスペースを持つ。人類がこれまでに作った最大の宇宙船だ。ここで科学者たちは2500以上の実験を行った。
ISSの20周年を祝し、宇宙での毎日について語った宇宙飛行士の言葉を集めた。
ISSは地上約250マイル(約400km)上空に浮かんでいる。広さはサッカー場くらい。実験室であり、月や火星へのミッションのための中継地点としても想定されていた。
宇宙遊泳中のNASAの宇宙飛行士マイク・ホプキンス(Mike Hopkins)。2013年12月24日。
NASA
地球からは約6時間で行ける。同時に6機の宇宙船がドッキング可能。
欧州宇宙機関(ESA)が設置した観測モジュール「キューポラ」につかまるNASAの宇宙飛行士ニコラス・パトリック。
Public Domain via Wikimedia Commons
宇宙飛行士ペギー・ウィットソン(Peggy Whitson)はISSコマンダーとなった初めての女性。2018年6月に引退したが宇宙での滞在期間は665日を誇り、アメリカ最長記録を持っている。彼女は、16日サイクルでローテーションする宇宙食を再び食べたいとは思わないだろうとBusiness Insiderに語った。「『すべてはソース次第』というのは真実。宇宙でしばらく過ごすと何でも同じ味がするようになるから」。
「きぼう」日本実験棟の中で浮かぶウィットソン。2017年6月22日。
NASA
「地球を上から見ることはとても特別な体験」とウィットソンは語った。「故郷とは何かということについて新たな視点を与えてくれる」。
2017年、第50次長期滞在を記念するワッペンの横の隔壁にサイン。
NASA
ISSの宇宙飛行士たちは骨と筋肉の衰えを防ぐために毎日、運動しなければならない。カナダの宇宙飛行士クリス・ハッドフィールドは滞在中に筋力は増えたものの、地球に帰還後は重力への適応に苦労したと語った。「今、何とかまっすぐ立とうとトライしている」と2013年、帰還後に語った。「座ってシャワーを浴びている。さもないと気を失って倒れてしまう。また、まだ足の裏の皮膚が再生されていないので、熱い石炭の上を歩くような格好で歩いている」。
無重力の中、トマトをジャグリングするハッドフィールド。2013年3月3日。
REUTERS/NASA/Handout
出典 : Business Insider
注:無重力空間で過ごすと、皮膚がはがれ落ちることがある。
無重力状態は他にも多くの、変わった問題を引き起こす。例えば、汗は蒸発しない。そのため宇宙飛行士は常にタオルで汗を拭いている。爪を切るといったちょっとした行為もやっかいな問題になり得る。換気口の近くで爪を切らないと、小さな切りくずがISS内を漂うことになる。
NASAの宇宙飛行士リッキー・アーノルド。2018年6月4日。
NASA
元NASAの宇宙飛行士スコット・ケリー(Scott Kelly)は、宇宙からは地球の大気があまりにも脆く見えたことに衝撃を受けたとBusiness Insiderに語った。「とても薄い。薄いコンタクトレンズのようだった。我々が大気中に放った汚染物質はすべて地表を覆う極めて薄いフィルムの内側に閉じ込められている。それを目にして、少し怖くなった」。
キューポラで地球を背景に自撮り。
NASA Johnson/Flickr
出典 : Business Insider
ISSにいる間にケリーが最も恐れていたことは、愛する人に何か悪いことが起こらないかということだった。2011年、悪夢は現実となった。義妹で下院議員を務めていたガブリエル・ギフォーズ(Gabrielle Giffords)がアリゾナ州ツーソンで銃撃され重傷を負った。「銃撃で6人が亡くなった。私はミッションの途中で帰ることはできなかった」。
きぼう日本実験棟で二酸化炭素除去装置を操作するケリー(左)とテリー・バーツ(右)。
NASA
Source: Business Insider
フランスの宇宙飛行士トマ・ペスケ(Thomas Pesquet)はISS滞在中、宇宙の姿から宇宙飛行士のパーティーまで多くの写真を撮った。ペスケの誕生日には同僚のクルーがサプライズでサックスをプレゼントした。スペースXのドラゴン宇宙船が他の貨物と一緒にISSに届けた。
サービスモジュールの窓からクルー・アース・オブザーベーション(Crew Earth Observations)の撮影準備を行うペスケ。2016年12月。
NASA
Source: INSIDER
現在までにNASAは1000億ドル(約11兆4000億円)以上をISSに投じてきた。だがトランプ政権はアメリカの関与を2024年に終了させることを検討中と述べた。ISSの「使用期限」の約4年前だ。
2011年9月、第29次長期滞在のクルーが撮影。ニュージーランドの南、タスマン海の上空に現れたオーロラを捉えた。
NASA
5月、議会での証言でNASAのポール・マーティン(Paul Martin)は、現行の予算では、ISSを維持するための資金が他のプロジェクトやミッションを圧迫していることを認めた。だが同氏はまた、ISSへの資金提供を早めに終了させるというトランプ大統領の提案は将来の宇宙飛行士の活動を脅かすことになると述べた。「人類の健康リスクやテクノロジーに関する実験など、重要なプロジェクトは2024年までに終了しない」。
NASA
出典 : Business Insider
アメリカは地球とISSとの間を往復して宇宙飛行士を運ぶロケットをもう保有していない。そこでNASAはスペースXやボーイングと連携して新しい宇宙船を開発中。スペースXはすでにISSに貨物を運んでいる。クルー・ドラゴン・カプセル(Crew Dragon capsule)での有人飛行も早ければ2019年に始まる。
NASA
出典 : Business Insider
※敬称略
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)